アイドル12年目で初センターへ…SKE48熊崎晴香の原点「研究生の時、母の言葉にショックを受けて」
8月24日、SKE48の33rdシングル『告白心拍数』の概要が同グループの公式YouTubeにて発表された。センターに立つのは熊崎晴香。アイドル歴12年にしてようやく掴んだ栄光だ。熊崎はいかにしてセンターに立つことができたのか。その道のりを、グループを結成当初から取材する記者が2回にわたってお届けする(前後編の前編)。 【関連写真】熊崎晴香、昨年発売した1st写真集カット【3点】 数か月前。ある日の劇場公演終わりのこと。熊崎晴香が私のもとへ近づいてきた。 「お疲れ様です。今日の公演どうでしたか?」 熊崎は挨拶を欠かさない。それに、公演の出来を必ずと言っていいほど聞いてくる。自分たちがどう見えているのか、気になるのだろう。 他愛ない話を数分した後、急にこんなことを言い出した。 「私ってどうすればセンターになれますかね?」 これには言葉を窮した。その絶対的方法は存在しないからだ。もし存在するならば、その通りに行動すればいい。そんな本が売っていたら、アイドルなら誰でも買うだろう。 かわいければ? ダンスが上手ければ? 人気があれば? グループのセンターとはタイミング、グループの方針、ファンの支持、知名度、メディア露出、その曲のイメージに合っているかどうかなど、あらゆる角度からスタッフが検証して、結論を出すものだ。 熊崎は非の打ち所がないアイドルだ。性格は真面目。パフォーマンスはピカイチでパワフル。踊りながら歌う体力もある。昨年には1st写真集も刊行している。さ行の発音に弱く、噛み癖がある。それがアイドルとして必要なチャームになっている。 グループ内でも人気は上位。その自覚はある。それでもセンターの座は遠いと感じていた。センターに近づいたと感じた瞬間は何度かあった。しかし、それは真夏の逃げ水のように、「近づいては離れ」を繰り返した。アイドルとして生きてきて12年。もう手は尽くした。「どうすればセンターになれますかね?」と聞いてきたのは、彼女だってそんな方法はないとわかっていても、それでも聞かずにはいられないほどに追い詰められていたからだろう。熊崎は不退転の決意で33枚目のシングルに臨もうとしていた。 SKE48は10月2日に発売される33rdシングル『告白心拍数』のセンターに熊崎晴香を指名した。スタッフからセンターに立つことを知らされると、帰宅して家族と大喜びした。 熊崎「もうお祭り騒ぎです。リビングで輪になって、ぐるぐる回りながらわっしょいわっしょいって(笑)」 熊崎はSKE48の6期生である。12年間、アイドル道を歩んできた。艱難辛苦を乗り越えてきた同期も喜んでくれた。 熊崎「大阪でツアーがあった日、同期で食事に行ったんです。その場でセンターになったことを伝えたら、ずっと応援してくれていた(井田)玲音名は泣きながらお好み焼きを食べていました(笑)」 そもそもなぜ熊崎はセンターになりたいと思うのだろう。 熊崎「研究生だったとき、母が劇場公演を観に来てくれました。家に帰って感想を聞いたら、『頑張っていたのはわかるけど、見えなかった』と言われました。ショックでした。当時の私は一番後ろで踊っていたんです」 熊崎の定位置は3列目の真ん中だった。3列目とは一番後列を意味する。それは踊るときも、集合写真を撮影するときも変わらなかった。 熊崎「端っこのほうがまだマシだと思いました。3列目の真ん中って前の人と重なってしまうから、ファンの方に見てもらえないんです。『見えなかった』という母の言葉はショックでした。そして、もっと前に出たいと思うきっかけになりました」