「お気に入りの政治家」を徹底的に調査すべき3つの理由
無意識のバイアスが、投票に影響を与える
■2)無意識のバイアスが、投票に影響を与える 正直に話そう。投票は感情的なものだ。おそらくあなたも、候補者のちょっとしたエピソードに共感したり、プレゼンテーションに感銘を受けたりしたことがあるだろう。しかし、自分の個人的なバイアス(先入観や偏見)が、「情報に基づく選択」を妨げている可能性について、考えたことはあるだろうか? 無意識のバイアスは、人間の本質の一部だ。しかし、重要な判断を下すときには、入りこむべき要素ではない。2021年のある研究は、無意識のバイアスによって、実際にはそうでない場合でも、特定の人物は自分より権威がある、と信じてしまうことを示唆している。 例えば、身なりが悪い人は地位が低いと見なされるかもしれない。また、制服を着ている人は自動的に権威のある人物と認識されるだろう。 こうした先入観は、盲点を生み出す可能性がある。特に問題になるのは、自分の利益に合うと考えて、ある人を支持した後で、実際には自分の害になり得ることが判明する場合だ。自分のバイアスに気がつかないでいると、しばしば気付かないうちに利益より害が大きい政策を支持してしまうことになる。 ■3)「人柄に基づく投票」は危ない 政治家は、自分を売り込むすべを知っている。それも仕事の一部だ。しかし、人柄に基づいて投票することは、実際の走行を確認せずに見栄えのする車を選ぶようなものだ。その政治家個人だけでなく、より広い視野で政策を検証することが重要だ。 Journal of Research in Personalityに発表された2014年の研究によれば、人は、自分と似ていると感じる人物に投票する傾向があるという。残念ながら、実験の被験者たちは、政治家たちの無音のビデオクリップを見ただけで、そうした傾向を示した。批判的な評価が行われていないことが示唆される、と研究者たちは書いている。 ある人物は、その魅力によって、きっと現状を打破してくれると思わせるかもしれない。しかしその人物は本当に、社会が必要とする変化を生み出すだろうか? ここで批判的思考が重要になってくる。ある政治家が、短期的に人々に抱かせる感情に焦点を当てるのではなく、次のように自問してみよう。長期的な計画は? システム上の問題に対する解決策を提示しているだろうか? 彼らは、自分たちの利益を超えて考えているだろうか? 投票は強力な行為だが、熟考と判断力を必要とする。次の投票を行う前に、自分や他者にとってためにならないシステムに、自分が貢献しようとしていないか確認しよう。民主主義の健全性は、市民の警戒心にかかっている。あなたの「情報に基づく選択」は、ポジティブな変化のきっかけになるかもしれない。
Mark Travers