<南アフリカ>肌色の違い ── 高橋邦典フォト・ジャーナル
ヨハネスブルグ郊外の閑静な住宅街にあるサクソンウォルド小学校を訪れた。30年代に白人専用学校として創立されたこの学校は、1992年、すべての人種にその門戸を開いた。 黒人が入学しはじめた当初、生徒たちは異人種間で言葉をかわすことなどほとんどなかった。しかし状況が変わるのにはそれほど時間はかからなかったと、校長が当時を思い出す。 「2週間もすると、だんだんとお互いのことがわかってきたみたいです」 白人の子供達がみな専用の大きな寝室とベッドで寝ているわけではないし、黒人達がみな暗い部屋で雑魚寝をしているのではない、先入観が消え、お互いそんなに違わないんじゃないかと気付いていったようだった。
「現在ではもう子供達にとって、肌の色など関係ないようです。他の子供について話す時、あの黒人の子、とか、あの白人の子、という言い方はしなくなりました。肌の色というのは彼等を区別する基準ではなくなってしまったのでしょう」 理想的な話、ではある。しかしこんな学校に通える裕福な黒人生徒はごく一部。大部分の黒人児童たちは、依然として設備も乏しく教育レベルの低いタウンシップ内の学校に通わなくてはならないのが現状なのだ。 (2002年2月)