共同墓地の復旧支援 県9月補正予算案
●被災集落 通路や壁、最大1200万円 地域コミュニティーを維持 石川県は、能登半島地震で被災した集落が管理する共同墓地の復旧を支援する。通路や壁などの共用部分を対象に最大1200万円の修繕費を補助し、通路に倒れた墓石の移設に必要な費用も出す。過疎化が著しい能登では、墓が遠方に暮らす出身者らと故郷をつなぐ役割を果たしており、県は地域コミュニティーの維持に必要と判断。早期の再建を後押しする。 支援には復興基金を活用する計画で、今年度9月補正予算案に8800万円を計上した。県によると、同様の制度は2016年の熊本地震でも設けられ、最大1千万円が補助された。今回は足元の資材高騰などを考慮し、熊本より200万円増額した。 補助を受けられるのは集落の共同墓地のみで、宗教法人や市町などの地方公共団体、公益財団法人が経営主体となっている墓地、個人管理の墓は含まれない。 具体的には、損壊した共同墓地敷地内の水道設備、ごみ建屋といった施設、フェンスや擁壁などが対象となる。倒壊した墓石の修復は含まれないが、共有の通路上に倒れた墓石を移動させる場合も補助する。 ●穴水町は個人墓石も 地震で倒壊・損傷した墓の復旧では、穴水町が個人所有の墓石を修復する際の補助制度を創設する方針で、3日開会の町議会定例会に事業費8千万円を盛り込んだ補正予算案を提出した。宗教や宗派は問わず、町担当者は「宗教施設への支援ではないので、政教分離の原則には反しない」と説明している。 町によると、地震の墓石被害を巡っては、18年の北海道地震で被災した自治体が見舞金を支給したケースがあるが、自治体が住民に助成するのは全国的にも珍しい。補助金額は1世帯当たり最大10万円で、約800件の利用を見込む。