豊洲「千客万来」は“インバウン丼”以外も残念だった…外国人観光客に合わせすぎた「悲しい現実」
2024年2月1日、豊洲市場の隣に新しくオープンした商業施設「豊洲千客万来」。 そこで売られている海鮮丼の値段が高額だと話題になり、「インバウン丼」なるネットミームが生まれた。 【写真】インバウン丼で話題の豊洲「千客万来」の様子 しかし、【前編】『“インバウン丼”で話題の豊洲「千客万来」は今どうなっているのか…現地に広がっている「意外な光景」』で見たように、筆者は同地にフィールドワークを行いその現状を調査したが、適正価格ともとれる値段のものもあり、当初騒がれたほど、全ての商品の値段が高いわけではなかった。 1階~3階までにぎっしりと飲食店が軒を連ねており、いろいろな食の楽しみ方ができるように感じた。
「千客万来」は商業施設としてみるとどうか
このように、オープン当初叫ばれたような「異常な物価」は、イメージ先行の側面も強く、その点だけで、批判されるのは少し可哀想だと思う。 ただ、千客万来を純粋な商業施設として見たときに、残念な箇所もいくつかあった。 そして、それらはこの施設が「観光客向け」であることを意識し過ぎているがゆえに起こることなのではないか? とも感じた。以下、説明したい。 (1)ユーザビリティーの低さ まず、館内全体の構造が掴みづらい。そもそも、ゆりかもめの駅から直結して到着するフロアは2階部分で、ゆりかもめから行くと、そもそも1階部分があることもあまり認識されないままになってしまう。 大きな館内案内図が掲示してあったり、表示がわかりやすいわけでもない。エレベーターやエスカレーターも個人的には探しにくいと感じた。人が多かったことも相まって、筆者は結局、階段でフロアの上下動をしてしまった(階段が一番よく目に入ったから)。 さらに、筆者が強烈に感じたのは、雨の日における使いにくさだ。 先ほど、ゆりかもめの駅からこの施設まで直結行くことができる、と書いたが、実は厳密に言うとこれは誤りで、一瞬だけ屋根のない場所がある。ちょうど施設の入り口に当たる場所。 おそらく、施設の景観を意識して屋根がないと思うのだが、残念なことに、景観を意識しすぎて、ユーザビリティーが落ちてしまっているようにも感じる(しかも絶妙な距離感で、小走りすれば濡れないかな、と思って、小走りしたら、結構濡れた)。 施設全体のコンセプトである「江戸」を意識するあまり、このようなユーザビリティーの低下が起こっているのだ。 ここ以外にも、雨が降っているときの移動で雨に濡れてしまう場所がある。 例えば、「時の鐘」の横にあるお土産施設。筆者は施設の全貌を見たかったので傘をさして土産物屋に行ったが、この短い距離感で傘を刺して移動するのもおっくうだから、行かない人も出てくるだろう。 リアルな江戸の街並みを再現するために、このような作りにしたのだろうが、それによって使いにくさが低下してしまうのは、本末転倒ではないだろうか。本来、ターゲットであるはずの外国人観光客にとっての魅力も下がってしまうかもしれない。