年収600万円の会社員ですが、仕事がキツく55歳で「早期退職」を考えています。貯金と退職金でそれぞれ「2000万円」あれば大丈夫ですか? 老後の年金が減って「損」でしょうか?
50代も後半にさしかかると、年金がもらえる65歳までの生活をイメージしやすくなります。そのため、今の仕事がつらいと感じていて、ある程度の貯蓄がある人の中には、できれば早期退職して自由な暮らしを満喫したいと思っている人もいるのではないでしょうか。 本記事では予定より5年早く退職する人を例に、退職後に必要となる年間の生活費や、早期退職でどれぐらい年金額が減るのかを解説します。 ▼勤続20年でも年収は「280万円」貯蓄も「30万円」しかないのは少なすぎ!? 転職したほうが良いの?
早期退職から年金支給開始までにかかる生活費の目安
まず、55歳で早期退職してから年金の受給開始年齢である65歳までの、10年間の生活費を考えてみましょう。総務省が公表した2022年の家計調査報告によると、2人以上の世帯の1ヶ月あたりの消費支出は世帯主が50代の場合は月額35万9963円、年額約430万円です。また世帯主が60代の場合だと月額29万9362円、年額約360万円となっています。 この調査の消費支出を参考に、55歳から65歳までの総支出をシミュレーションしてみましょう。 55歳から60歳まで 5年×430万円=2150万円 60歳から65歳まで 5年×360万円=1800万円 合計約3950万円もの生活費が必要だということがわかりました。 つまり現在の貯蓄が2000万円で、退職金が2000万円程度あったとしても、55歳から65歳までの10年間、世帯収入がなければ貯蓄が底をついてしまうことになります。
早期退職は年金額にどう影響するのか
早期退職は貯蓄の目減りだけではなく、将来もらえる年金額にも影響があるため注意が必要です。国民年金(老齢基礎年金部分)については、60歳までは加入が義務付けられているため、退職後も保険料を払ったと仮定すると年金額に変化はありません。 しかし、報酬に比例して保険料を納める老齢厚生年金については、再就職して保険料を納付しない場合、年金金額が減少してしまいます。仮に年収600万円、60歳まで働く予定だった人が5年早く55歳で早期退職した場合は、月50万円を報酬月額と仮定すると年金の減少額は以下のとおりです。 50万円×5.481/1000×60ヶ月=16万4430円 平均年収600万円で60歳まで働き、厚生年金の加入期間が20歳から60歳の40年間だとすると、老齢厚生年金は50万円×5.481/1000×480ヶ月=131万5440円です。老齢基礎年金は満額79万5000円(2023年度)のため、合計で年間約211万円の年金を受け取れますが、5年早期退職することで200万円を割り込みます。 65歳から69歳の無職世帯(2人以上)の場合でも月額28万10円、年間約336万円の支出があることを考えると、早期退職による無収入期間ができることや将来の年金額に不安がないとはいえないかもしれません。