熊切あさ美、「本当は泣いていた」“崖っぷちアイドル”でブレークした苦悩
売れない状況を個性や武器にするアイドルグループやタレントがいる。そのパイオニアは誰か?と考えたときに思い浮かぶのが、“崖っぷちアイドル”として人気を得た熊切あさ美だろう。現在は、映画『歌舞伎町はいすくーる』(5月公開)に出演するなど、タレントのほか女優としても頭角を現しつつある。アイドルグループ・チェキッ娘の一員としてデビューして、今年で芸歴16年目。元祖“崖っぷちアイドル”は、今何を思っているのだろうか。 ■泣きながらこなした“崖っぷち”としての仕事 熊切が仕事のない“崖っぷちアイドル”宣言をしたのは、今から10年ほど前。その捨身の覚悟は、バラエティー番組などで受け入れられ、一躍時の人となった。「“崖っぷち”としてやらせてもらうことで、お仕事もたくさん増えました」と、当時を振り返る熊切だが、その反面「プライベートで素に戻った時には、凄く嫌な気分になることが多くて、よく泣いていましたね。でも、“崖っぷち“を辞めたら仕事がもらえなくなるのもわかっていたから…」と、タレントとしての生き方に思い悩んでいた。 バラエティ番組では「司会の皆さんに上手くイジってもらえたりして、ありがたいポジションだった」とは言うものの「周囲からは白い目で見られることもあったし、『どうせ“崖っぷち”なんでしょ?』と嫌味を言われることも何度もありました。それに一度ついたイメージを払拭するのは大変。“崖っぷち”と掲げている以上、どんな仕事も断ることができなかった」と、その“肩書”が重くのしかかることも少なくなかった。 ■負けっぱなしで辞めたくない 『泳げないのに滝つぼに飛び込む』、『8メートルの崖から飛び降りる』など「危険な役回りは必ず自分に回ってきた」と、リアクション芸人顔負けの体当たりを要求された。今なら「貴重な経験をさせてもらった」と笑って話せるが、一時は心が折れて芸能界を去ろうと考えたこともあった。それでも「“崖っぷち”のままで辞めたら負けっぱなし。辞めるならば自分のイメージを変えてから辞めようと思った」と、言葉を噛みしめる。 芸能界入りを反対していた両親への思いもある。「特に父が厳しい人で、私が“崖っぷち”として活躍していることについて、周囲から色々と言われたこともあったと思う。芸能界に入るときの約束は『仕事の愚痴は言わない』でしたから、これからは自分のイメージを変えて親孝行をしていきたい」と、目を細める。「今は年齢的にガッツくのもキツくなったし、気が付いたら“崖っぷち”として売り出している子たちも増えてきたので、その子たちの将来を心配しつつも『(“崖っぷち”の肩書は)あげます、あげます』という気分」と、改めて“脱・崖っぷち”を宣言する。