趣里演じる弁護士の決定的な新しさとは? 初回の意外なMVPは? ドラマ『モンスター』第1話評価&考察
”最後の後押し”をしてしまった人物は…。
本作のタイトルにある「モンスター」とは誰のことを差すのか、というところに注目してしまう。 まず、事件に関わる人間がモンスターであることは間違いないだろう。 紗江を追い詰めた上司もモンスターだった。しかし、紗江を助けてくれるはずだったカウンセラーの梅本(美波)もまた、モンスターだった。 亡くなった日、紗江は接待に呼び出されていた。逃げたい。そんな思いが彼女を苛む。 そこに梅本から電話がかかってくる。直前まで塩屋と電話をしていたことから、「行きたくない」「遼に会いたい」と吐露するが、電話の相手は梅本だった。梅本は自分を助けてくれる存在、のはず。しかし、梅本がかけた言葉は…。 「大丈夫。紗江さんならがんばれる。がんばってよ」 がんばるという言葉はポジティブなようでいて、残酷な言葉だ。もう十分がんばっているのに、まだがんばれというのか。 その直後、紗江はトラックの前に飛び込んだ…。
亮子(趣里)の滲み出る本音にも注目
梅本自身も、紗江のような経験があり、その経験を活かして相手に寄り添っているはずだった。 しかし、梅本は電話越しに紗江がトラックと衝突した音を聞き、唇を歪ませる。クライアントの気持ちはよく分かっている立場。助ける言葉も、相手を殺す言葉も分かっている。 「本当のモンスターは誰なのか?」と問いかけているかのようだ。 モンスターと言えば、亮子もそうでは? と放送前は想像していた。型破りな方法で無感情に依頼者を無実にしていくのだとか、ベタな展開を想像していた。が、亮子の中には感情はあるようだし、素直な気持ちをあまり隠していなさそうだ。表情が少ない中にも目や唇、頬の動きのちょっとしたところに感情がにじんでいて、そこから亮子の本音を探ってみるのもおもしろそうだ。 そんな亮子に振り回される杉浦も見どころだ。どうやら、学歴だとか、縦の関係を大事にしているようだし、こちらは型にはまったタイプのように見受けられる。そんな彼を亮子がどんなふうに変えていくのかも注目したい。 それにしても、今回ゲストの萩原利久は目に光が宿らない役がうまい。だからこそ、ふとしたときに感情が荒ぶる様子がグッと心を揺さぶる。とは言え、そろそろ最高にハッピーな役を演じている萩原も見てみたいものだ。 【著者プロフィール:ふくだりょうこ】 大阪生まれ関東育ちのライター。 大学卒業後からライターとして活動、シナリオ制作やエンタメジャンルの記事を中心に執筆。 ドラマと邦画、ハイボールと小説が好き。
ふくだりょうこ