『あのクズを殴ってやりたいんだ』ほこ美×海里は結ばれるのか? タイトルの意味を考える
奈緒が主演を務める火曜ドラマ『あのクズを殴ってやりたいんだ』(TBS系)の第1章が終了した。 【写真】雰囲気一変 黒髪の頃の海里(玉森裕太) 考えてみれば、放送前に本作に期待していたのは、クズだけど憎めない海里(玉森裕太)とほこ美(奈緒)のラブロマンスが、いったいどんな方向へと進んでいくのか、だった。 第5話までを振り返ってみると、ラブ要素はありつつも、過去のトラウマを乗り越えようとする海里の葛藤があったり、ほこ美のボクシングに対する並々ならぬ努力があったりとドラマを構成する要素は多岐にわたる。 ましてや、第1章の終幕として放送された第5話では、立ち直ろうとするもうまくいかない海里をほこ美は受け入れ、最終的には「それでも前に進まなきゃいけない時は私があなたを殴ってやります、あなたのこと、好きだから」とストレートな告白。 もうこうなってくれば、海里にとって昔からバディのような存在だったゆい(岡崎紗絵)の存在など関係ない。第2章では、さらに2人の仲が縮まっていくのではないかと期待してしまう(海里が1人の女性を選ぶことなどあるのか、というのは少々気掛かりではあるが)。 もう1つ、第2章を構成する要素として期待してしまうのは、海里が自分の過去とどれくらい向き合い、前へと進んでいくかということだ。第6話の予告を見る限り、どうやら海里は羽根木ジムを訪れたようにも思えるが、第5話までの段階の海里を見ると、やはりまだまだ過去を乗り越えるのには時間がかかりそう。ここから急激に前進していき、選手として復帰するのか、はたまたほこ美のセコンド役となるのか……などさまざまな展開を想像してしまう。 それに、海里には今、ボクシング関連とは異なり、カメラマンとしてのキャリアを進むという道もある。実際、第2章のキーパーソンとしてスポーツカメラマンの朝倉修太郎(安井順平)というキャラクターが登場することも、すでに発表されている。カメラマンとしては、なかなか不遇の扱いをされている海里が今後どうなっていくのか、そこにも注目だ。 そして、ドラマのタイトル『あのクズを殴ってやりたいんだ』の意味についても再考したい。たしかに、現時点でほこ美が殴りたい相手は海里ではある。しかし、このドラマ、クズはなにも海里だけではない。 海里が大地(大東駿介)の墓前に備えた花を引き抜いて踏みつけたのは、どうやら同居人の悟(倉悠貴)のよう。ほこ美の同僚である撫(玉井詩織)も、実はほこ美に嫉妬心をむき出し、影では嫌っている。そう考えると2人の行動もなかなかにクズなのだ。 ただ、だからといって、この2人がタイトルの“クズ”を意味していると言いたいわけではない。結局のところ、誰だって誰かにとっては「クズ!」と言いたくなるような相手になりうるのではないかと思ってしまうのだ。もちろん、自分自身に対しても例外ではない。 よって、このドラマのタイトルは、ほこ美の気持ちであると同時に、このドラマを構成するキャラクターがそれぞれのクズに対して思う心の内なのではないかと考える。きっと第2章では、それぞれがそれぞれの“クズ”に対して気持ちを清算していく要素も増えていくことだろう。
於ありさ