中国が対ロ支援強化、地理空間情報を提供-米国が同盟国に注意促す
(ブルームバーグ): 米国は中国がロシアの対ウクライナ戦争を支援するため、地理空間情報の提供などロシアへの協力を強化していると同盟国に注意を促した。
事情に詳しい複数の関係者によると、中ロ間の軍事的連携が進展する兆しが見られる中、中国はロシアに軍事目的の衛星画像のほか、戦車用のマイクロエレクトロニクスや工作機械を提供しているという。
中国の支援には光学機器やミサイル用推進剤、宇宙計画での協力拡大も含まれていると関係者の1人は語った。
米国家安全保障会議(NSC)のワトソン報道官によれば、バイデン大統領は先週の習近平中国国家主席との電話会談で、工作機械や光学機器、ニトロセルロース、マイクロエレクトロニクス、ターボジェットエンジンなどロシアの防衛産業基盤に対する中国の支援について懸念を示した。
中国の祝日と週末を含む連休中に同国外務省にコメントを求めたが直ちに返答はなかった。
中国・香港経由
重要なのは、ロシアが主に中国と香港経由で、兵器やその製造に必要な半導体や集積回路(IC)など規制対象技術を入手していることだ。米国と欧州連合(EU)は、こうした技術移転を可能にしているとして中国企業数社をリストアップしているが、このような取引がなくなる兆しはほとんど見られない。
非公開情報だとして関係者らが匿名で明らかにしたところでは、中国は対ロシア支援をここ数カ月の間に強化した。ブリンケン米国務長官は最近、欧州の同盟国に対し、中国の支援の範囲と重大性を説明し、その抑制に一段と取り組むことが必要だと伝えたと関係者の1人は話した。
また別の関係者によると、ブリンケン長官は同盟国に対し、直接中国にこの問題を提起し、中国の団体や企業に措置を講じるよう求めた。
北大西洋条約機構(NATO)加盟国との会合でのブリンケン氏の発言の一部については、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が先に報じていた。
米国と同盟国は今後、中国に懸念を伝え、同国によるロシア防衛産業支援の規制強化を目指すことになるだろうと関係者らは語った。