【MotoGP現場ぶら歩き】溺れるほどの人の海。ル・マンに集った29.7万人のファン!
とにかくすごい人の数に圧倒される
2024年シーズンのMotoGPフランスGP取材のためにル・マンに向かったのは5月8日のことでした。わたし(筆者:伊藤英里)は困惑していました。パリのシャルル・ド・ゴール空港でレンタカーをピックアップして、ル・マンに向けて走り出したのは数時間前のこと。2023年の経験から、パリ近郊は混雑するとわかっていました。しかし、走れども走れども、渋滞が収まる様子がないのです。ル・マンまでの約250km、走っては渋滞にはまるの繰り返しで、結局6時間かかりました。 【画像】ぶら歩き。フランスGPの舞台裏を画像で見る(19枚)
これは到着してから宿のオーナーと話して知ったのですが、5月8日、そして翌日の9日も、フランスの祝祭日だったのだそうです。調べたところ、5月8日は「1945年5月8日戦勝記念日」、5月9日は「昇天祭」という祝祭日でした。初めてフランスGPを取材した2023年は日程がずれていたようです。そのことを知らず、今年はすっかり渋滞にはまった、というわけでした。 しかし、いくら祝祭日だといっても、パリから200km以上の道のりでで、これほど長く、これほど混雑するとは……。レースウイークが始まる前から、フランスGPの盛り上がりを予感しました。宿のオーナーは「今年は昨年よりもお客さんが多いんじゃないかな」と言います。実際のところ、その言葉通りになるのです。 金曜日のお昼頃、セッションの合間を縫ってパドックとサーキットをぶらりと歩きまわってみました。ただただ、「すごい人混み!」です。 ル・マンはサーキットの内部に観客向けの施設や観戦エリアがあるのです。人の海の中を進むので、根気強くじりじりとしか歩けません。それほどの人の多さです。本当はフードスタンドで何か買って食べてみたかったのですが、あまりの行列の長さに、午後の仕事に間に合わないだろうと、残念ながら断念しました。
サーキットを歩く人たちの多くは、フランス人ライダー、ファビオ・クアルタラロ選手とヨハン・ザルコ選手のグッズを身に着けていました。そして、この2人が受ける声援と向けられる熱狂といったら、とてつもない大きさでした。それは走行が始まる金曜日の前日から始まっていて、木曜日、すでにサーキットへ駆け付けたたくさんのファンが、ピットウオークで、クアルタラロとザルコの前で大きな歓声を上げていました。 「まだ木曜日なのに、すごい……!」と感動しながら、その光景に既視感を覚えます。 記録を振り返ってみると、2023年もまた、同じように「木曜日から盛り上がる、多くの観衆」に驚いていました。ル・マンのフランスGPでは、当たり前の光景なのかもしれません。クアルタラロとザルコへ向けられる熱は、日を追うごとに高まっていくのです。