《藤井流星主演で実写ドラマ化決定も》めちゃくちゃ売れているのに“推されない”…愛読者3名が明かす、女性向けエロ漫画「ティーンズラブ」が語られないワケ
近年、拡大を続ける電子コミック市場の中でも、急速に売り上げを伸ばしているとされるTL漫画(ティーンズラブ漫画。性描写を含む女性向け漫画のこと)。「ティーンズ」を冠するジャンル名であるにもかかわらず、主な読者は大人の女性たちだ。 【画像】藤井流星主演で実写ドラマ化決定の『キスでふさいで、バレないで。』 ヒット作『キスでふさいで、バレないで。』が2025年2月に実写ドラマ化を控えるなど勢いの止まらないTL漫画について、ライターのアオヤギミホコさん、藤谷千明さん、『週刊文春WOMAN』編集長・井崎彩の3名による座談会を実施。 発売中の 『週刊文春WOMAN創刊6周年記念号』 より、一部を抜粋・編集の上、紹介する。 ◆◆◆
“ティーンズ”といいつつ、大半のヒロインが20~30代
――ティーンズラブ(以下、TL)というジャンルに馴染みがない読者も多いと思うので、最初にその定義から聞かせてください。 アオヤギミホコ(以下、アオヤギ) ざっくりいえば「女性向け恋愛漫画の中のひとつのジャンルで、性描写が作品の中心にあり、読者もそれを求めて読んでいるもの」と受け取ってもらうとわかりやすいかと思います。 そういうと、『快感♥フレーズ』(新條まゆ/小学館)のような少女マンガが思い浮かぶ人もいるかもしれません。でも少女マンガの場合は建前としては恋愛がメインで、エロいことはあくまでその一環という位置づけなんですね。逆にTLは性愛がメインで、基本的に1話に1回はエロいシーンが描かれます。 藤谷千明(以下、藤谷) 注意が必要なのが、“ティーンズ”といいつつ、今のTLは大半のヒロインが10代ではなく20~30代なんですよね。 井﨑彩(以下、井崎) 私は2020年にTLにハマったんですが、入り口になったのはお仕事とセックスがテーマで、アラサーが主人公の作品だったんです。当初はジャンル名を知らなくて、後から「これのどこが“ティーンズ”なの?」と驚きました。 アオヤギ 歴史的にいうと、大人の女性向けのマンガジャンルとして「レディースコミック」があって、その読者層が高齢化する中で若い世代にリーチしようと生まれたのがTLです。“ティーンズ”という名称は投稿雑誌が元ネタと言われていますよね? 藤谷 そうですね。主に10代女子が自分の性体験を投稿する「エルティーン」(近代映画社/1981年創刊、2005年休刊)という、今読むと「ウソだろ」みたいな過激な話も載ってる雑誌で、ネットが浸透してない時代にクラスの女子間で回し読みされていたり。 その派生で、投稿内容をマンガにした「エルティーンコミック」(1995年創刊、2005年休刊)というマンガ誌も生まれました。 アオヤギ その流れも下地になって、2000年前後から各社がTLマンガ誌を刊行し始めます。つまりジャンルが生まれた当初は読者も主人公もティーンだった。