北米では『デッドプール&ウルヴァリン』の勢い止まらず、堂々V2達成!M.ナイト・シャマランの新作は安定のスタートに
前週2億ドル超という驚異的なオープニング成績をあげて初登場1位を獲得した『デッドプール&ウルヴァリン』(日本公開中)が、危なげなく2週連続Vを勝ち取った先週末(8月2日から8月4日)の北米興収ランキング。まずは同作の2週目の成績からチェックしていくことにしよう。 【写真を見る】M.ナイト・シャマランの新作スリラーは、コンサート会場を舞台にしたシリアルキラーvsFBIの攻防劇! 週末3日間の興収は、前週比45.8%の9680万ドル。これは2週目末の興収としては歴代8位で、この夏の覇権争いを繰り広げている『インサイド・ヘッド2』(日本公開中)の記録した1億121万ドルには及ばなかったものの堂々たる成績。これで週末段階での累計興収は3億9500万ドルとなり、『デッドプール』(16)の最終興収をあっさりと突破。翌日には累計興収4億ドルに到達し、次週末にも4億5000万ドル超えが確実なものとなっている。 前回の当コラムでは念のため「油断禁物」としていたが、その勢いは想像以上だったようだ。おそらくはそこで『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(15)を抜いてMCU作品の興収歴代6位に浮上する見込み。現在5位の『アベンジャーズ』(12)の最終興収6億2335万ドルまではだいぶ開きがあり、ここに届くかどうかが次なるターゲットであろう。 M.ナイト・シャマランが18年ぶりにワーナー・ブラザースとタッグを組んだ新作『Trap』は、初日から3日間で1545万ドルの興収を記録して3位に初登場。ジョシュ・ハートネット演じるシリアルキラーの男が、娘を連れて訪れたコンサート会場でFBIに包囲され、そこから逃げだすために様々な策を講じていくサイコスリラー。シャマラン監督の長女サレカ・シャマランが“歌姫”役として出演していることでも話題を集めている。 前作『ノック 終末の訪問者』(23)のオープニング興収が1417万ドル、『オールド』(21)が同1685万ドルだったので、相場通りのスタート。しかもシャマラン作品にしては珍しく登場人物が多そうだが製作費は3000万ドルと控えめで、今回も黒字収支が見込めそう。同じワーナーで先ごろ公開された次女イシャナ・ナイト・シャマランの『ザ・ウォッチャーズ』(24)と比較すると、上映館数は170ほど少ない一方で興収はダブルスコア以上の差。父親の貫禄を見せつけることができたようだ。 対照的に、「アイス・エイジ」シリーズのカルロス・サルダーニャ監督がザッカリー・リーヴァイを主演に迎え、半世紀以上愛される名作絵本を映画化した『Harold and the Purple Crayon』は初日3日間で興収600万ドルという少々厳しい出足に。批評集積サイト「ロッテン・トマト」によれば批評家からは酷評が集中しているが、観客からの好意的評価は91%と高め。しかしそれが興収に結びついておらず、4000万ドルの回収にも黄信号が灯っている。 ほかの夏のビッグタイトル陣はといえば、2週連続2位の『ツイスターズ』(日本公開中)は8月6日の火曜日に累計興収2億ドルを突破。4位の『怪盗グルーのミニオン超変身』(日本公開中)は5週目末も1000万ドル以上の興収を保ち、『ミニオンズ』(15)超えが現実味を帯びてきた。そして『デッドプール&ウルヴァリン』の猛追を受ける『インサイド・ヘッド2』は着実に興収を積み重ねており、まもなく『バービー』(23)を抜いて北米歴代興収ランキングの11位に浮上することだろう。 文/久保田 和馬