「肺炎」は日本の死亡原因の第5位 「65歳以上の人は肺炎球菌ワクチンを受けて」発信する医師に聞いた
総合内科専門医および感染症専門医として勤務する「DR.L@感染症専門医」(@infection_dr_L)さんが、「肺炎球菌ワクチン」接種の大切さをSNSに投稿して注目が集まりました。 【話題になった投稿】肺炎球菌ワクチンまとめ 「65歳以上の人々には、肺炎球菌ワクチンの接種が強く推奨されます。肺炎球菌ワクチンは特定の肺炎球菌性肺炎に対して46%の効果があり、侵襲性肺炎球菌感染症に対しては70%以上の効果が示されています。特に65歳以上の高齢者においては、入院を要する肺炎の発生率を顕著に減少させることが確認されています。」 厚生労働省の『肺炎球菌の感染症を予防できるワクチンがあります』によると、「肺炎は日本の死亡原因の第5位であり、成人の肺炎の約2~3割は、肺炎球菌という細菌により引き起こされるとの報告があります」と書かれています。さらに「肺炎で亡くなる人(新型コロナが原因の死亡者は含まれません)の97.7%が65歳以上(2021年)」(「肺炎予防.jp」より)と、65歳以上の人にリスクが高いことがわかります。 そのため、65歳以上の高齢者(65歳の1年間)、60~64歳の「心臓、腎臓、呼吸器の機能に自己の身辺の日常生活活動が極度に制限される程度の障害がある方」「ヒト免疫不全ウイルスにより免疫の機能に日常生活がほとんど不可能な程度の障害がある方」には成人用肺炎球菌ワクチン接種の定期接種(市区町村が実施する予防接種)がおこなわれています。 定期接種は「23価肺炎球菌ワクチン」が使用され、成人用肺炎球菌ワクチンをはじめて接種される方のみ公費助成が受けられますので、該当する方はお住まいの市区町村に確認してください。 ※日本で使用されている主な肺炎球菌ワクチンには、結合型肺炎球菌ワクチン(PCV)と23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(PPSV23)があります。 PCV13(プレベナー13®):13種類の血清型をカバー PCV15(バクニュバンス®):15種類の血清型をカバー PCV20(プレベナー20®):20種類の血清型をカバー (最新) PPSV23(ニューモバックスNP®):23種類の血清型をカバー DR.Lさんの投稿には、「肺炎球菌ワクチン接種してたら、私の親族も助かったかもしれない」「これは定期的に流してほしい情報…その年代になったら必ず接種しよう」などのコメントが寄せられました。 風邪と肺炎は異なります。風邪は主に上気道に影響を及ぼします。肺炎は、細菌やウイルスなどの病原体が肺胞に感染して、炎症が起こって発症します。風邪は通常は対症療法で自然回復を待ちますが、肺炎は抗生物質や抗ウイルス薬が必要になることが多く、重症の場合は入院治療が必要になります。 ワクチンを打つことについてDR.Lさんは「肺炎球菌ワクチンは、肺炎や髄膜炎、血液感染といった命に関わる深刻な病気を防ぐ効果があります。日本でも、肺炎球菌感染症で亡くなる方が多く、特に65歳以上の方に多いのが現状です。しかし、ワクチン接種によって多くの命を救えるのです。また、薬が効きにくい肺炎球菌も増えているため、ワクチンでの予防がますます大切になっています」と話します。 「肺炎球菌ワクチンは、医療費の面でも効果的です。ワクチン接種で肺炎球菌による入院を防げれば、医療費の節約にもつながります。肺炎球菌ワクチンは私たちの健康を守り、社会全体の医療負担を減らす重要な手段です」(DR.Lさん)