「就活の企業選び」で競合企業の研究よりも大事な視点とは?【図解付き】
*本稿は、現在発売中の紙媒体(雑誌)「息子・娘を入れたい会社2025」の「親子で選ぶ『自分に合った』業界&働き方 企業選び編」を転載、一部加筆したものです。 ビジネスにどのような流れがあり、関係者は誰なのかといった「商流」を意識することは、個別の業界・企業を研究する上で深い理解に繋がる。鉄道、物流、電子部品、自動車業界を例に具体的なやり方を図解する。(ダイヤモンド・ライフ編集部) 【鉄道、物流、電子部品、自動車の業界・企業研究のやり方を図解!】 ● お金と仕事の依頼の流れに注目して 「鉄道・物流業界」を研究! まずは、業界・企業研究の対象の会社を一つ挙げて、用意した紙の真ん中に書いてみよう。ここでは鉄道業界のJR東日本を例に挙げた(下図参照)。 次にその横に並ぶように同業他社を書き込む。例では、JRや私鉄各社の社名を挙げた。さらに遠距離の運輸事業を行う企業として、航空会社もここに並べている。 ● 横並びの競合よりも 商流の「縦の並び」を意識する 就活生の多くは、この「横に並んだ企業」を研究しようとする。しかし、それだけだと商流の理解にはつながりにくい。 それよりも大切なのは「お金の動き」を知ることだ。図では、縦のラインに並ぶ「お金がOUTする商流の川上」と「お金がINする商流の川下」が該当する。 川上には鉄道車両などを製造する重工業メーカーや鉄道車両・機器メーカー、さらに鉄道会社が保有する線路や駅ビルなどを建設するゼネコンを並べた。こうした会社に対してJR東日本はお金を払い、商品やサービスを受け取るという商流が生じている。 川下には、鉄道で貨物や荷物を運ぶ物流会社や鉄道の旅を販売する旅行会社、駅ビルにテナントとして入る外食やアパレル会社を並べた。こちらは、JR東日本が鉄道輸送やビルなどの場所を提供し、川下の企業からお金を得るという商流ができている。
商流とその関係会社を把握することで、研究したい業界・企業が「誰に仕事を依頼するか」がよく分かるようになる。 就活に詳しいダイヤモンド・ヒューマンリソース局長の福重敦士氏は「商流を共にする会社の人たちは、入社後に一緒に働く人たちであり、その会社を知ることは実務に役立つはずだ」と説明する。 なお、川上には企業間の取引が多いBtoB企業が多く含まれる。川下は消費者に商品やサービスを提供するBtoC企業が多くなる。 ● お金と商品の購買の流れに注目して 「電子部品・自動車業界」を研究! 自動車業界では、部品の製造や開発が段階別に細かく分かれていて、川上には「Tier(ティア)」と呼ばれる複数の階層の企業が並ぶ(下図参照)。さらに完成車メーカーの系列企業が商流の多数を占めるといった特徴もある。 また、横並びの同業他社には、電気自動車メーカーなどの商品のカテゴリー別の競合や、海外メーカーなども並ぶ。 このように商流を意識した上で、個別の会社の戦略の違いを調べていくと、業界・企業研究をより充実させることができるはずだ。
ダイヤモンド・ライフ編集部