ノーベル平和賞・被団協の代表団が帰国 長崎の出席者が会見「緊張と分断 変える力に」
ノルウェーの首都オスロでノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の代表団が13日、帰国した。中心的組織の長崎原爆被災者協議会(長崎被災協)から授賞式に出席した田中重光会長(84)=被団協代表委員=と横山照子副会長(83)=同代表理事=は、長崎市内で会見を開き、田中会長は「世界の緊張と分断を友好と協調に変える力になれば」と期待を語った。 田中さんは授賞式で、フリードネス・ノーベル賞委員長からメダルを受け取り「68年間の活動が、核兵器のない世界をつくる原動力になったら素晴らしい」と希望を持った。横山さんは「(二度と核兵器を使わない)未来の保証を今やらなきゃ」と実感したという。 受賞演説で代表委員の田中熙巳さん(92)は、予定の原稿にない言葉を加え、原爆被害者への国家補償を拒む日本政府を批判した。田中重光さんも会見で「被爆者や戦争被害者に冷たい政治が行われている。国家の戦争責任を明確にすることで日本が戦争しない、世界が核兵器を使わないことになる」と強調。国の指定地域外で原爆に遭い被爆者と認められていない「被爆体験者」から内部被ばくの影響などを訴える手紙を預かり、現地で国連事務次長やノルウェー国会議長らに手渡した。 代表団30人には韓国とブラジル在住の被爆者も入り、横山さんは「世界の被爆者が一緒にもらった賞」と喜びをかみしめた。会見では、本紙が企画し、被爆者らが現地で寄せ書きをした長崎被災協の横断幕も披露された。 鈴木史朗長崎市長も慰労に駆けつけ「核兵器廃絶を世界に発信してきた皆さんの思いを引き継ぎ、実行に移す重い宿題を、われわれ次の世代がもらった。あらためてスタートラインに立ったと思う」と述べた。