小泉今日子さん…自分の価値観を持つために「もっと自分の心を動かすレッスンが必要な気がする」
自分なりの「美しさ」「本物」の見つけ方
ー小泉さんは、私生活でもアートに触れる機会はありますか? 小泉今日子 20代の頃はお休みができれば海外にパッと行って、着いたらまず美術館巡りをしていました。 “本物”が見たくて、よく旅をしましたね。 今でも日本で開催している個展などで興味あるものは見に行きますし、画集などを見るのも好き。 最近は、福岡で活動している20歳の画家の描いた猫の絵を買って家に飾っています。ほかにも、友人のイラストレーター・エドツワキさんの作品や、写真家の佐内正史さんの作品も。 写真や絵画はよく買いますが、そのアーティストが流行っているから欲しいというのではなくて。元々そういうことが好きなんです。だからといってすごーく高い買い物をするタイプではないんですけれど(笑) ーどうすれば人の評価を気にせず「本物」を見分ける目を養えるんでしょう? 小泉今日子 普段から本当の芸術に触れる、感じる機会が少ないのかな、と思うんですよね。やっぱりたくさんのものを見たり知っているからこそ、その価値を感じられることもあるような気がします。 2023年7月にプロデュースした舞台「ピエタ」は、18世紀の爛熟期を迎えた水の都ヴェネツィアが舞台でした。美術、セット、衣装、音楽の美しさを全部入れてみたいと思って作りました。 例えば、生で聴くバイオリンの音は、直接骨に響くような美しい音色なんです。見る人に、そういう初めて聴くような、バイオリンの生の音を経験する機会を増やしてあげたいと思いました。 舞台を見てくれる誰か1人でも、その人の人生が変わる瞬間を作りたい。 誰かの心に触れたことを実際に私が知らなくてもいいけれど、そういうことのためにプロデュースをやっていると思っています。 ー小泉さんご自身が、今一番心を突き動かされるものは、何ですか? 小泉今日子 とにかくポジティブなエネルギーを発する人が気になります。テレビの中にも音楽にも「ポジティブなパワー」が足りない。 複雑に見えるものがかっこよく見えるけれど、すかんと抜けていく明るさや、ポジティブなエネルギーに接すると、私は感動します。 ■小泉今日子(こいずみ・きょうこ) 1966年生まれ、神奈川県出身。1981年「スター誕生」に合格して、翌82年に歌手デビュー。「なんてったってアイドル」等数々のヒット曲を残す。その後、俳優としてドラマ、映画を中心に活躍。またエッセイなど文筆家としても定評がある。2015年自ら代表を務めるプロダクション「明後日」を設立。舞台・映像・音楽・出版とジャンルを問わず作品をプロデュースしている。 ■「海の沈黙」 2024年11月22日より全国ロードショー 巨匠・倉本聰が長年にわたって構想し、「どうしても書いておきたかった」と語る渾身のドラマがついに映画化! 世界的な画家の展覧会で起こった贋作事件。この絵を描いたのは一体、誰なのか? 同じ頃、北海道で全身に刺青の入った女の死体が発見される。この2つの事件の間に浮かび上がった男。それは、かつて新進気鋭の天才画家と呼ばれるも、突然人々の前から姿を消した津山竜次だった――。 人間にとって「美」とは何か? 私たちは人生の終わりに何を見つけるのか? 観客の心を揺さぶり続けてきた作家・倉本聰が描く集大成的作品が幕を開ける。 原作・脚本:倉本聰 監督:若松節朗 出演:本木雅弘、小泉今日子、石坂浩二、萩原聖人、中井貴一 配給:ハピネットファントム・スタジオ (衣装クレジット) ニット 8万8000円/CINOH(MOULD 03-6805-1449)、ピアス3万5200円/PLUIE(PLUIE Tokyo 03-6450-5777)、リング 右・人差し指 1万9800円、薬指2万9700円、左4万700円/Rieuk(Rieuk info@rieuk.com) 取材・文=金田千里 写真=泉三郎 ヘアメイク=石田あゆみ スタイリスト=藤谷のりこ 編集=長倉志乃(ハルメク365)
ハルメク365編集部