日本の建築を支えてきた、“構造デザイン”を知っていますか? 建築家の仕事を支える存在
最後のブースでは、地上での構造デザインを宇宙空間へ展開する取り組みを紹介。現在、東京大学大学院の新領域創成科学研究科の佐藤 淳准教授とJAXA(宇宙航空研究開発機構)が開発中の、月での長期滞在を想定したシェルターのような月面構造物の原寸大模型が展示される。構造的には軽量かつ小型であることはもちろん、宇宙空間でスムーズに展開させるため、凹凸のある面で裏返りを生じさせる「飛び移り現象」が活用されているのだが、これは髪を留めるピンの動きと同じ原理が取り入れられている。
このように身の回りの構造を紐解く本展覧会では、モノにかかる力の流れやモノの仕組みを明らかにするとともに、過去から未来へと連綿と受け継がれてきた「構造」に対する日本人の営みを一望する。建築模型を保管・管理している寺田倉庫が一般に扉を開く貴重な機会を、ぜひお見逃しなく。
文:久保寺潤子