4年前から「遺族年金」受給中の63歳です。制度が変更になるといわれていますが、私はずっと受給できるのでしょうか?
共働き世帯が増え、働く女性が増加してきている中で、遺族年金の在り方についても改善が必要とされています。制度改正に向けての議論が進められているようですが、具体的にどのようなことが変わるのか確認しておきましょう。 本記事では、子どものいない年金受給者を対象とした「遺族年金」の制度が変更になる件について、改正の背景や内容・これから必要な対策も含めて解説します。 ▼年金「月15万円」を受け取っていた夫が死亡。妻は「遺族年金」をいくら受け取れる?
なぜ遺族年金制度の改正が必要になったのか?
そもそも遺族年金とは、国民年金・厚生年金保険の被保険者が亡くなったとき、その遺族によって生計を維持されていた場合、所得を保障するための年金です。一家の大黒柱が亡くなり、のこされた家族が生活に困ることがないように、年金を受け取れるようになっています。 これまでは、受給者が男性か女性かによって受けられる保障内容に大きな違いがありました。今回の改正は、働く女性が増え、共働き家庭が増加したことが背景にあるようです。 内閣府 男女共同参画局によると、令和5年における女性の就業率は15~64歳が73.3%、25~44歳が80.8%と上昇傾向にあります。このように「男性が主たる生計維持者である」という以前までの社会的状況は変化しつつあるといえるでしょう。制度上の男女比をなくすことが、今回の改正の目的であると考えられます。
子どものいない遺族年金受給者にとって何が変わる?
現行制度では、20歳~50歳で配偶者を亡くした子どものいない人を対象とし、次のような給付が行われてきました。 【女性の場合】 ●30歳未満:5年間の有期給付 ●30歳以上:無期給付 【男性の場合】 ●55歳未満:給付なし ●55歳以上:無期給付(支給開始は60歳) 女性は年齢に関係なく遺族年金を受給できる一方で「男性は働いて生計を立てられる」という考えにより、55歳未満だと受給なしとなっています。こうした男女差をなくすために、今回の改正により、以下のように変わることが予定されているようです。 ●年齢要件にかかわる男女差を解消するために、20代~50代に死別した子のいない配偶者は男女ともに5年間の有期給付とする ●現行における妻への有期給付については、対象年齢を30歳以上へ段階的に引き上げる