お正月の飾り花の定番、スイセン。「越前水仙」の凜とした美しさを束ねて
藤野幸信さんが選ぶ「季節の贈り花」 今、この花を贈りたい!
「フルール トレモロ」オーナー 藤野幸信さんが“今贈りたい”おすすめの花をセレクト。その花を使った、新作ブーケ&アレンジメントをさまざまなバリエーションでお届けします。 【写真】スイセンを使ったブーケ&アレンジメントの写真と解説をもっと見る
1月の花「スイセン」
藤野幸信/Yukinobu Fujino 広島駅からほど近い段原の骨董通りにある「フルール トレモロ」オーナー。広島大学大学院理学研究科生物科学専攻を終了後、花の道に進んだ異色の経歴。著書『大切な人への贈り花』も好評。
凜とした美しさはすらりとした葉があってこそ!
今年も贈り花におすすめの旬な花を紹介していきます。2024年最初にご紹介するのは、秋植え球根のスイセンです。 ミニスイセンや八重咲きスイセンが庭で花を咲かせるのは2月下旬からですが、ニホンズイセンだけは開花がとびきり早く、温暖地では11月中旬から咲き出す所もあります。スイセンの中でもとくに香りが高く、花はきりりとした美しさのニホンズイセンは、昔からお正月の飾り花の定番。年末には集中して出荷されます。 千葉県の房総半島、兵庫県の淡路島とともにニホンズイセンの三大生産地といわれるのが福井県の越前海岸で、そこで栽培されたものは「越前水仙」と呼ばれています。 ほかの生産地に比べ、花が引き締まり、香りが強いのが特徴です。さらに、寒さの中で育つので茎が太くしっかりしています。 スイセンは花も素敵ですが、何よりすらりとした葉が美しい!とくにニホンズイセンは、スマートな葉があってこそ、花が引き立ちます。いけ花の世界では、花と葉の高さのバランスに厳しく、花より葉が2~3cm出ているものは長首と呼ばれて重宝されるそうです。 私の場合、まず根元を包んでいるはかまをはずし、花と葉を分け、よいバランスに整えて束ねたり、アレンジするので、入手の段階で気にかけることはないのですが……。でも、それほど重きが置かれるほどスイセンにとって葉が重要な存在であることに間違いありません。路地で咲いていたり、花屋さんで見かけたら、ぜひ葉と花のバランスに注目してみてください。