日常生活の相棒に 北九州市の学生がロボカップ世界大会で優勝
@ホームリーグでは、自作したロボットで戦うのではなく、各チームが同じ性能の機体を使って勝負します。審査では、ロボットが命令通りに動くのはもちろん、人とのコミュニケーションが円滑に進むことも重視され、各チームが開発したAI(人工知能)などソフトウェアの優劣が勝敗を左右します。 北九州のチームは、ロボットの映像や論文などの審査を通過してオランダへ。世界の強豪10チームがそろう中、「人を席へ案内する」「朝ごはんを準備する」「テーブルの食器を片付ける」といった課題に挑み、決勝に進みました。
ロボットと開く未来
人間なら“あいまい”な指示で行動に移せることでも、ロボットの場合は、データと一つずつ照らし合わせながら判断し、AIが行動計画を導き出します。 環境の変化に柔軟に対応するロボットを開発するのは難しく、少しでもデータと違う状況が生まれると、動かなくなる機体もあるそうです。水谷さんによると、世界大会では「真っ赤なイチゴを取ってくる」という課題が出ましたが、時間の経過で変色してしまったイチゴをロボットが認識できなかったチームもあったそうです。 AIを開発するには、ものの特徴を文章で入力して覚えさせる方法や、様々な角度から撮った3D画像をビッグデータとして蓄積させる方法などがあります。世界大会では、状況に応じてそれらを使い分けたことが勝利につながりました。 水が入ったペットボトルは透けてしまうため画像で区別するのが難しく、形状が似ている炭酸飲料の缶はラベルの特徴をカメラで読み取るなどしたそうです。
また、ロボットは手を振っている人などを選ぶ「人物認識」、周囲の障害物を把握しながら動く「ナビゲーション」などの機能も備え、これらをAIで連携させることにより、限られた競技時間でロボットを安定的に動かすことができたといいます。 数年前まではロボットが人の言葉を聞き取ることにさえ苦労したそうですが、AIの技術進化はめざましく、水谷さんは「人と共存できるロボットを目指して活動を続けたい」と話します。
読売新聞