『デューン 砂の惑星PART2』で蘇った北米の映画市場 批評家&観客ともに前作超えの高評価
2024年に入ってから大作不足に悩まされ続けた北米映画市場
実際のところ、今年がはじまって以来、北米映画市場はその「広い客層」に訴求できる話題作・大作の不足に悩まされつづけてきた。2024年の累計興行収入は、2023年の同時期と比較して80%程度にとどまっていたのだ。しかし『デューン 砂の惑星PART2』の公開により、累計興収は昨年比86.5%にまで回復したという。 海外市場では71市場で9700万ドルを記録しており、全世界累計興収は1億7850万ドル。イギリスで1150万ドル、フランスで930万ドル、ドイツで840万ドルと、ヨーロッパでの人気が特に大きい。巨大市場・中国では3月8日の公開予定だ。 もちろん本作は、公開直後にコストをすべて回収できる規模の映画ではない。報道によると、製作費は1億9000万ドル、広報・宣伝費は約1億ドル。前作は製作費1億6500万ドルに対し、世界興収4億3379万ドルを稼ぎ出して黒字だったというが、今回はここから数字をどこまで伸ばせるか。ヴィルヌーヴの熱望するシリーズ第3作が実現するかどうかも、ひとえに興行の成否にかかっている。 『デューン 砂の惑星PART2』の日本公開は3月15日。これに先がけて、3月8日、9日、10日の3日間には先行上映も実施される。 なお、今週はほかに話題の新作がなかったため、ランキングの第2位は公開3週目の『ボブ・マーリー:ONE LOVE』で週末興収743万ドル(首位との金額差は約7400万ドルだ)。同じく3週目の『マダム・ウェブ』も第4位を守ったが、上映館数は897館減となった。前週2位で初登場した『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」絆の奇跡、そして柱稽古へ』は、前週比-82.1%という大幅下落により第7位まで急落している。 北米映画興行ランキング(3月1日~3月3日) 1.『デューン 砂の惑星PART2』(初登場) 8150万ドル/4071館/累計8150万ドル/1週/ワーナー 2.『ボブ・マーリー:ONE LOVE』(↓前週1位) 743万ドル(-44.8%)/3390館(-207館)/累計8277万ドル/3週/パラマウント 3.『Ordinary Angels(原題)』(→前週3位) 385万ドル(-37.5%)/3020館(変動なし)/累計1256万ドル/2週/ライオンズゲート 4.『マダム・ウェブ』(→前週4位) 320万ドル(-45.9%)/3116館(-897館)/累計4044万ドル/3週/ソニー 5.『The Chosen: S4 Episodes 7-8(原題)』(初登場) 315万ドル/2215館/累計391万ドル/1週/Fathom Events 6.『FLY!/フライ!』(↓前週5位) 250万ドル(-12.9%)/2204館(-230館)/累計1億2345万ドル/11週/ユニバーサル 7.『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」絆の奇跡、そして柱稽古へ』(↓前週2位) 206万ドル(-82.1%)/1949館(変動なし)/累計1570万ドル/2週/ソニー 8.『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』(↓前週7位) 173万ドル(-29.4%)/1732館(-471館)/累計2億1676万ドル/12週/ワーナー 9.『ARGYLLE/アーガイル』(↓前週6位) 140万ドル(-48.9%)/2283館(-777館)/累計4396万ドル/5週/ユニバーサル 10.『The Beekeeper(原題)』(↓前週9位) 111万ドル(-42.8%)/1347館(-810館)/累計6492万ドル/8週/Amazon・MGM (※Box Office Mojo、Deadline調べ。データは2024年3月4日未明時点の速報値であり、最終確定値とは誤差が生じることがあります) 参照 https://www.boxofficemojo.com/weekend/2024W09/ https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-news/dune-part-two-box-office-1235839660/ https://variety.com/2024/film/news/dune-2-box-office-opening-weekend-timothee-chalamet-1235928614/ https://deadline.com/2024/03/box-office-dune-part-two-1235842667/
稲垣貴俊