仏内閣が電力増税方針を撤回 労働者負担軽減求める極右に配慮
Sudip Kar-Gupta Leigh Thomas [パリ 28日 ロイター] - フランスのバルニエ首相は28日、来年予算案に盛り込んだ電力増税方針を撤回した。 内閣存続の上で支持が不可欠な極右政党、国民連合(RN)から予算案において労働者への負担を軽減しない限り、倒閣に動くと圧力を受けたことに対応した形。ただRNのバルデラ党首はX(旧ツイッター)への投稿で「われわれはここで立ち止まることはできない。まだ譲れない幾つかの線が残されている」と述べ、内閣不信任を避けるにはなお不十分だとの見解を示した。 来年予算案でバルニエ内閣は、財政赤字穴埋めのために総額600億ユーロの増税と歳出削減を打ち出し、その一環として電力消費税について約30億ユーロの増税を計画した。電力消費税はエネルギー危機に陥っていた過去2年間、税率がほぼゼロまで引き下げられていた。 しかしこの予算案には左派連合だけでなくRNも反対し、内閣は財政規律を緩めてフランスの財政基盤を弱めてしまうか、不信任案可決によって退陣するかの厳しい選択を迫られている。 このまま議会で予算案に対する支持が集まらなければ、内閣は早ければ来週にも憲法上の規定を行使して、議会の承認なしで予算成立を強行する公算が大きい。予算案は12月半ばが成立期限だ。 一方RN指導者マリーヌ・ルペン氏は28日の地元紙ルモンドに対し、予算成立が強行された場合、RNが不信任案を提出するのは避けられないと警告した。