「落ちギス」のシーズンは目の前 丸々と太った極上の尺ギスを…待ちきれず吹上浜に行ってみた
〈あゆLOVEフィッシング―上園あゆみ〉 【写真】5時間の釣果は10~20センチが20匹だった
「砂浜の女王」とも称されるシロギス。海岸線が長く砂浜の多い鹿児島では人気のターゲットだが、シーズンは夏とのイメージがあるのではないだろうか。しかし、実は一年中釣ることができる。中でも海水温が下がる秋は「落ちギス」の時季となり、釣り人が待ち望むベストシーズンを迎える。 一般的に知られる真夏の釣りは、産卵のために浅場に集まるキスを狙う。遠投せずとも釣れる手軽さや、生後1年目の10センチ以下のピンギスが交ざり数釣りを楽しめる面白さからビギナーにも人気のシーズンだ。それに比べ、これから始まる秋の落ちギス釣りは良型が出やすい。ほとんどが20センチを超えるため、引き味もよく釣り応えがある。 落ちギスは「味が落ちる」という意味ではなく、「深みに落ちる」ことに由来する。キスは冬場の海水温の低下を嫌い、水温の安定した深場に生息域を移す。落ちギス釣りは、その深場に移動する前に荒食いする(補食活動が活発になる)習性を狙う釣りなのだ。シーズン後半になると丸々と太った極上の尺ギスが釣れる。これもまた楽しみの一つだ。
落ちギスは一定の場所にたまる傾向があり、一度群れを見つけると、同じ場所でずっと釣れ続けることも多い。キスのすみかを見つければ大漁! 見つけられなければこちらの負け。それがまるでキスを相手にしたかくれんぼのようで、釣り人の心を刺激し夢中にさせる。 9月下旬、待ちきれずに吹上浜へ調査に出掛けた。午前6時から5時間で、10~20センチが20匹ほどの釣果。小さなキスが多く、波打ち際での当たりが多かった。海の中はまだ夏らしい。鹿児島での落ちギス釣りは例年10月末から11月下旬までと短い。この間にいかに真剣勝負ができるか。私もワクワクしながらその日を待ちわびている。日に日に涼しくなる風と大きくなる秋の虫の声に、カウントダウンが始まる。
南日本新聞 | 鹿児島