美祢線復旧検討部会が初会合 「復旧費は58億円」JR西が示す【山陽小野田】
JR美祢線利用促進協議会の復旧検討部会(部会長・中島紀子美祢市地域振興課長、5人)は28日、美祢市役所で初会合を開いた。鉄道での復旧とそれ以外の輸送手段を並行して検討していくことを確認。JR西日本は鉄道での施設復旧費に58億円以上を要し、工期は約5年程度かかるという試算を初めて示した。 昨夏の大雨から全線運休が続く美祢線について、中島部会長は「部会では鉄道、それ以外の手段で復旧を整理、検討するが、最終的に一つに絞り込むものではない。バス便による実証実験は今後の判断材料とするため」と部会の位置付けを確認した。 これに対して、JR西の能登一明地域交通課長は「鉄道での復旧検討を最初に協議することに異論はないが、それ以外の手段での事例を示しながら並行して考えてもらいたい」とした。 JR西は鉄道での復旧費として、崩落した第6厚狭川橋梁(きょうりょう)の改築費に22億円、被災した設備の機能回復費に10億円、厚狭川に架かるすべての橋梁の橋脚補強工事に26億円がかかるとの試算を示した。 2010年の被災では約13億円だったが、今回は被災規模が大きいことや全線での設備の安全確保、物価高、難工事などにより4倍以上の経費がかかるという。 県は昨秋、10年かけて災害に強い厚狭川の河川改修に取り組むと発表したが、能登地域交通課長は「河川改修の復旧のめどが立てば工事にかかれるが、基本的には着工すべきではない」とし、鉄道での再開にはかなりの時間がかかることが明らかになった。 JR西は、改めて単独での復旧、再開した場合の運営は単独では困難との見解を示した。沿線3市からは「復旧費の分担や国からの補助対象となる工事の内訳は」「収益の高い路線の収入で赤字ローカル線を維持するという内部補助についてのJRの考え方は」などの質問が出され、次回会合で再確認することになった。 今後は利便性やコスト(復旧費、運行費)、災害耐性などの観点から鉄道、バスなど他の手段ごとの長所、短所を調査、検討。その判断材料となるデータ集めとして現行の代行バスの増便、ダイヤ変更などで利用者から速達性、定時性、利便性を確かめる実証実験を行う。現在の利用者以外にも公共交通に対するニーズ調査を実施する。 一連の調査、検討を今年度中に済ませ、来年5月のJR美祢線利用促進協の総会で検討結果を報告。交通手段の選定という次のステップに移行する。