パク・ソジュンやBTSのV、オスカー女優ユン・ヨジョンも登場!俳優の奮闘と美食を楽しむおすすめ韓国バラエティ
韓国映画やドラマ、K-POPなど世界的な旋風が続くエンターテインメント。個性的なバラエティ番組にも注目が集まっている。いままでは韓国へ旅行した際の宿泊先での楽しみだった韓国の名バラエティは、配信サービスの拡大によって世界中でリアルタイムも楽しめる。 【写真を見る】頑張りすぎるコ・ミンシをさりげなく気遣う姿も見せた優しい兄貴分、パク・ソジュン とりわけキラーコンテンツとなっているのが、俳優たちが料理店を経営するプログラム。なかでもイ・ソジンを中心に年齢も性別も様々な俳優が韓国料理のレストラン運営に奮闘するシリーズ「ソジンの家」は、シーズン2に突入して絶好調。韓国の視聴率調査会社「ニールセンコリア」によれば、第2話の視聴率は、首都圏世帯基準で最高11.7%、全国世帯基準では最高10.7%で、地上波を含んだ全チャンネルの同時間帯の1位を記録した(ケーブル、IPTV、衛星を通じた有料プラットフォーム基準)。韓国ではtvNで放送されているが、日本でもPrime Videoで配信中だ。 ■個性俳優たちが切り盛りする人気韓国料理店「ソジンの家」 アイスランドが舞台となる「ソジンの家」シーズン2は、「ソジンのトゥッペギ」(チゲ用鍋)としてスープ料理のコムタンをメインディッシュに、カルビチム、ビビンパ、ポン菓子のデザートまで振る舞う。 「ソジンの家」の魅力は、俳優たちの個性あふれるキャラクターだ。ぶっきらぼうに小言を言うものの、実は気遣いが細やかで芯に優しさを持つイ・ソジンと、イ・ソジンから一目置かれ、パク・ソジュンらには“ユミヌナ”(姉さん)と慕われるしっかり者、取締役のチョン・ユミ。厨房とフロアを往来しながら厨房とフロアを往来する頼れる兄貴分パク・ソジュンと、愛されキャラのチェ・ウシク。誰もが俳優として確固たるキャリアを持つメンバーが、慣れない土地で店を繁盛させるべく、料理と接客に奮闘し成長していく様子が共感を呼ぶ。 仕事をしっかりこなしつつ自由で容赦ない言動を見せる年下俳優たちと、若手に手を焼くのもまんざらではなさそうなイ・ソジンのコンビネーションにも笑わされっぱなしだ。また全員がチームプレイでハプニングを乗り越えて店を盛り立てていく姿に、好感度もさらに上がる。もちろん、提供されるメニューはどれも抜群に美味しそうで、舌鼓を打つ地元民が羨ましい限りだ。 シーズン2の初日は、インターンから代理に昇格したチェ・ウシクが日替わりメインシェフとしてデビューする。ところが予想外に客が押し寄せてしまい、食材が足りなくなるなどてんてこ舞いとなる。そんな中で活躍したのが、新メンバーのコ・ミンシだ。 『密輸 1970』(公開中)で強烈な個性を発揮し、若手注目株に躍り上がったコ・ミンシ。「ソジンの家」シーズン2ではビビンパ作りを担当し、野菜の下ごしらえをしながら周りも手伝うなど堂々と才覚を発揮。「トイレに行きたくなると困るから」と水分を一切取らない徹底ぶりだ。彼女とは『The Witch/魔女』(18)から勝手知ったる仲のチェ・ウシクは、ジョーク交じりで先輩風を吹かせていたものの意識の高さに脱帽。「ミンシ、すごいよ…」と膝をつく一幕もあった。 ■シーズン1ではBTS・Vがインターンとして大活躍! そんなコ・ミンシへエールを送ったのが、「ソジンの家」シーズン1の“キムインターン”ことBTSのV。軍服務を控えた昨年12月1日に撮影されたビデオメッセージで、彼は「遅いのはダメ。少しでも新人らしくテキパキ働いて、僕が戻る頃にはなじんでるといいな」と笑顔を見せていた。そんなVが活躍するシーズン1の舞台は、韓国から11,000キロも離れたメキシコ。韓国ではお馴染みの粉食店として、トッポッキやキンパ(海苔巻き)、チキン、ラーメンといった絶品軽食を提供する。 世界各国、どこへ行っても美男子ぶりで周囲を騒然とさせるV。元来の人当たりの良さからフロアでサーブを担当すると、客からラブレターをもらったり、赤ちゃんも笑顔にさせたりとさすがの人気を証明。その一方でオリジナルの辛いディップソースを考案するなど、チームの要としても存在感を示していた。BTSでは、最年少メンバーのJUNG KOOKの“ヒョン”(兄)としてマンネ(末っ子)を溺愛するVだが、ソジンの家では“マンネのテテ”。年上たちに可愛がられてはりきる様子にも和まされる。 ■チョ・インソンがスーパー経営に奔走!「見習い社長の営業日誌」 同じく『密輸 1970』に出演しているチョ・インソンもバラエティ「見習い社長の営業日誌」(U-NEXT、Huluほかで配信中)が人気を博した。 のどかな村のある小さな商店の経営を任された見習い社長で調理担当のチョ・インソンが、売り場や仕入れを担当するチャ・テヒョンと慣れないスーパー経営に四苦八苦しながら地域の人々と触れあっていく。二人だけでなく、パク・ボヨンやナム・ジュヒョク、『密輸 1970』の主演キム・ヘスら先輩・後輩もフォローに登場。意外な交友関係を知れるのも楽しい。シーズン1の最後の営業日には、実際にスーパーを経営している社長がラーメンを食べにやってくる。会話をしながら彼女の来し方行く末に思いを馳せたチョ・インソンが号泣する場面も感動的だった。 ■大ヒットドラマのスペシャル版「賢い山村生活」 「ソジンの家」シリーズを大ヒットへ導いたのは、“ナPD”ことプロデューサーのナ・ヨンソクの力量が大きい。彼の名を知らしめた「1泊2日」や、イ・ソジンがベテラン俳優の荷物持ちとなる「花よりおじいさん」、BTSも出演した「出張十五夜」など人気プログラムを続々生み出し、今年の百想芸術大賞TV部門ではTV部門男子芸能賞を獲得した韓国で最も有名なTVプロデューサーだ。 今でこそ人気者のナPDだが、かつて放送プロデューサーになるための試験は書類や時事問題、一般常識の段階ですべて不合格だったという。唯一、KBSでのみペーパー試験を通過。その後、企画案作成試験で出題されたテーマが「食」 というテーマだったそうだ。そこから見事面接まで通過し、彼はKBSに入社した。企画案を書く試験は元々得意だったらしいが、もしかすると「食」というテーマに縁があるのかもしれない。 そんな彼を象徴する人気番組のひとつが「三食ごはん」シリーズだ。俳優やタレントが郊外の山奥や漁村に行き、その地域に週三日、自給自足で暮らす。三食の食事は、その地域で採れる食材を自ら探したり採り、自分たちで料理することで賄う。畑を耕したり、鶏を育てて卵を産ませたりと、都会暮らしのスターたちにはなかなか骨の折れる日々だ。時にはナPDに交渉してお金を借りたり、シビアなゲームに挑戦させられて俳優たちが文句を言う姿も笑いのポイントだ。チャ・スンウォンのプロ顔負けな料理の腕前やユ・ヘジンのクセになるオヤジギャグなど、この番組をきっかけに新たなファンを増やした俳優も多い。 「三食ごはん」のスペシャル企画として、人気医療ドラマ「賢い医師生活」の主演キャストであるチョ・ジョンソク、ユ・ヨンソク、チョン・ギョンホ、キム・デミョン、チョン・ミドらが三食ハウスにやってくる「賢い山村生活」(U-NEXT、Huluほかで配信中)も話題となった。シーズン2の最終話の撮影からたった数時間後に制作が開始されたという本シリーズは、「三食ごはん」のルールに則り、食事を求めて“99ズ”(ソウル大医学部へ1999年に入学した登場人物たちの総称)が農作業や料理に奔走する姿は、ドラマの絆そのままに俳優の素顔も垣間見える贅沢な内容だ。さらに「賢い医師生活」の撮影ビハインドも明かされ、ファンにはたまらない企画になっている。 ■イ・ソジンがユン・ヨジョンと韓国料理を披露!人気バラエティシリーズ「ユン食堂」 そんなナPDのもうひとつの人気シリーズが、「ユン食堂」(U-NEXT、Huluほかで配信中)と「ユンステイ」だ。米アカデミー賞助演女優賞を獲得した経験を持つ大女優ユン・ヨジョン、イ・ソジン、チョン・ユミら人気俳優たちが、番組が決めた国に行き、プルコギやビビンパといった定番メニューを自ら料理するユン食堂を期間限定でオープンする。 「ユン食堂」は、アルバイトスタッフの面々も個性豊かだ。1962年デビューというベテラン俳優シン・グから、パク・ソジュンとチェ・ウシクといった「ソジンの家」のオリジナルメンバーもこのときから縁を結んでいた。「ユン食堂」はコロナ禍で海外渡航が不可能になると、韓国国内に在住する外国人に料理を振る舞う「ユンステイ」としてリニューアル。全羅南道・求礼にある伝統家屋韓屋に宿泊する様子は、パンデミックの中での新しい休暇の過ごし方「ホカンス」(ホテルでバカンスを楽しむこと)の流行にも乗り、注目される番組となった。 韓国の料理バラエティを見ていると、楽しいだけではなく気づかされることも多い。たとえば「ソジンの家」シーズン2を見ていると、韓国料理を現地の人々に食べてもらうためのローカライズと他文化へのリスペクトが感じられる。昨今需要が高まっているヴィーガンにも対応し、牛肉が入ることが多いコチュジャンをパプリカなどの野菜で作る工夫もされている。店内の装飾も、それぞれの国の代表的な動物であるトラと馬がセーターと韓服を着ているイラストや、アイスランドの特産品の羊毛で出来たコッシン(韓国の伝統靴)が飾られるなど、互いの違いを認めながら融合を示すアイテムがあふれているのも良い。何よりも、俳優たちがままならない状況で奮闘したり、ピンチだからこそ一致団結する姿に映画やドラマとはまた違った魅力が引き出されていて、これまで以上に好感が増す。お気に入りの俳優ができたら、新作と一緒にぜひバラエティ番組もチェックしてみてはいかがだろうか。 文/荒井 南