ロンゲラップ環礁帰島計画が頓挫 住宅群建設も核汚染懸念は根強く
【マジュロ共同】米国がマーシャル諸島で1954年に行った水爆実験で「死の灰」が降ったロンゲラップ環礁の自治体のジェームズ・マタヨシ首長(55)が27日、首都マジュロで共同通信と単独会見し、同環礁に島民を戻す計画が事実上頓挫していると明らかにした。約20軒の住宅を建設したが、生計を得る手段が失われ、核汚染の懸念も根強いという。 同環礁からは85年までに全島民が移住。96年に米政府と調印した計画に沿って除染や住宅建設を進め、米側は帰還を促してきたが、深刻な被ばくに苦しんだ島民の不安も払拭できなかった。 マタヨシ氏は本島の住宅地は表土を除去し、安全だと説明した。空港や道路、発電施設も整備されているが、今は「管理を担う数人の作業員がいるだけ」。島民を安心させて帰還させるのは「現時点で極めて困難」と認め、インフラ整備も凍結していると明かした。 一方、米提供の除染資金が不十分だと批判。環礁の北部が高濃度に汚染されていることが米コロンビア大の調査で数年前に判明し「懸念している」と訴えた。