「首から血」。地区長務める55歳女性に何が…2軒長屋の自宅で死亡、島の集落に衝撃走る 徳之島署「殺人事件と断定していない」
鹿児島県伊仙町佐弁の保育士の女性(55)が20日夕、自宅で死亡しているのが見つかった殺人容疑事件で、徳之島署は21日、女性の体に鋭利なものでできたとみられる傷があったと明らかにした。徳之島地区消防組合は「首から出血があった」と説明している。 【写真】〈関連〉現場付近を捜査する警察官=21日午後4時40分ごろ、伊仙町佐弁
同日午後、県警本部の捜査員数人が現場を30分ほど確認した。県警は22日に司法解剖し死因を調べ、現場の鑑識作業も本格化させる。 署によると、凶器は見つかっていない。家屋の施錠状況や物色の有無を調べている。これまでに署へのトラブル相談などはなかった。「まだ殺人事件と断定していない。あらゆる可能性を捜査している」とした。 消防などによると、20日午後6時すぎ、被害者の関係者から「帰宅すると妻が倒れており冷たくなっている。出血して切り傷がみられる」と通報があった。駆けつけた隊員がその場で死亡を確認し、110番した。 近隣住民の話では、女性は夫と2人暮らし。佐弁地区長を務めていた。 現場は、喜念小学校の南西約1キロに位置し、畑や民家が点在している。町教育委員会は町内の小中学校全11校に注意喚起し、うち9校で集団下校や保護者による送迎の対応が取られた。 ◇ 20日夕に、鹿児島県伊仙町佐弁の保育士の女性(55)が自宅で死亡しているのが見つかった殺人容疑事件から一夜明けた21日、普段静かな集落は警察官が行き交い、物々しい雰囲気に包まれた。驚きが広がった付近の住民らは「一体何があったのか」「いい人だったのに」と口をそろえた。
現場は2軒長屋が3棟並ぶ一角。規制線が張られ、警察官2人が立ち入りを警戒した。現場前の生活道路から不安そうにのぞき込む住民の姿もあった。事件発生時間帯とみられる午後6時前後には、現場付近の県道で徳之島署員らが検問し情報提供を呼び掛けた。 女性と高校時代に同級生だった同町の50代女性は「温和な性格。トラブルに巻き込まれるような人ではない」と驚いた。今月初めに電話で話したといい、「変わった様子はなかったのに」と言葉少なだった。 女性は夫と2人暮らしで、佐弁地区長だった。数日前に高齢者の集まりで会ったという女性(73)は「『人数が少ないから』と集会に参加し、一緒に体操や歌を楽しんだばかり。若くて、まだまだこれからだったのに」と惜しんだ。 女性は普段から公民館の草払いをしていたという。事件当日の朝もその様子を見たという女性(83)は「いつもと変わらなかった。争い事は聞いたことがない」と肩を落とした。
南日本新聞 | 鹿児島