「クイズ面白ゼミナールＲ」で教授に復活した鈴木健二氏

　元ＮＨＫアナウンサーの鈴木健二（すずき・けんじ）さんが３月２９日午前５時３０分、老衰のため福岡市の病院で死去したことが３日、分かった。９５歳。東京都出身。告別式は近親者で行った。紅白歌合戦や人気クイズ番組「クイズ面白ゼミナール」などの司会として活躍。お茶の間に愛された名司会者が静かに旅立った。 【写真】鈴木健二さんとの紅白司会も　黒柳徹子が思い出ポツリ 　昭和のテレビを彩った名司会者が、天寿を全うした。 　関係者によると、鈴木さんは近年はＮＨＫ時代に赴任し、退職後に勤務先があった熊本市で生活をしていたというが、３月２９日に福岡市内の病院で息を引き取ったという。 　鈴木さんは東北大卒業後、１９５２年にＮＨＫ入局。６６年開始の主婦向けの情報番組「こんにちは奥さん」の司会ぶりが評判となり、「歴史への招待」での名調子の語りや、「クイズ面白ゼミナール」で「教授」として司会を務めた際の軽妙な進行で人気を得た。台本を完璧に覚えてしゃべる記憶力と博覧強記ぶりに加え、笑顔を絶やさぬ流麗な話術で視聴者に親しまれた。報道では、６９年に米宇宙船アポロ１１号の月面着陸の中継などを担当した。 　８３年から３年連続で紅白歌合戦の司会を担当。８４年には、歌手引退を表明していた都はるみの歌唱後、会場からのアンコールを促す声や拍手を受けるとアドリブで「私に１分間、時間をください！」という言葉を発し、都とアンコールを“交渉”。「歌う気力があったら、どうぞ歌ってください」と背中を押し、実現。このシーンは今でも名場面として語りぐさとなっている。 　また、文筆活動にも熱心で、番組作りや日々の生活で感じたことをまとめた「気くばりのすすめ」がベストセラーに。「男が４０代にやっておくべきこと」など人生訓や処世術を中心に多くの書籍を著し、マルチな才能を発揮した。８８年に退職し、熊本県立劇場館長や青森県立図書館館長などを務めた。 　近年では２０１３年に「クイズ面白ゼミナールＲ」で「名誉教授」としてカムバック。つえを突きながら登場し「生きているだけで精いっぱいなのに」とぼやきつつも「口は回らないけど目は回る。耳は遠いがトイレは近いし…」などと巧みな話術で健在ぶりをアピールしていた。 　テレビ史に残る名シーンを演出した鈴木さん。視聴者に愛されたまま、この世に別れを告げた。 　◆鈴木健二（すずき・けんじ）１９２９年１月２３日生まれ。東京都出身。５２年にＮＨＫ入局。主婦向けの情報番組「こんにちは奥さん」の司会ぶりが評判となり、「歴史への招待」「クイズ面白ゼミナール」の進行役を担当。８３年から３年連続で紅白歌合戦の司会も務めた。番組作りや日々の生活で感じたことをまとめた「気くばりのすすめ」がベストセラーに。８８年に退職し、熊本県立劇場や青森県立図書館の館長も歴任。兄は映画監督の鈴木清順氏。