プロ表明の清宮が希望する異例の事前面談の狙いとふるい落とされる球団は?
早実の清宮幸太郎内野手が22日、都内の同校で記者会見を行いプロ志望届を提出することを表明した。だが、無条件で12球団OKの姿勢ではなく、事前に希望球団と異例の面談を行い、「自分を厳しく指導してくれて成長させてくれる球団にいきたい」という。プロ志望届け提出後は、スカウトとの接触は許されているが、ドラフト前に複数球団と行う面談は極めて異例。その狙いは、どこにあるのだろうか。 元ヤクルトのスカウト責任者でドラフトの裏も表も知る片岡宏雄氏は、こう見ている。 「12球団OKか?と聞かれ、まだわからないと答えた場面で、おや?っと思った。逆指名がない時代に事前面談というのは、私もほとんど覚えがないな。クジを引かれて交渉に入ってから“この球団はちょっとねえ”と思っても、後の祭り。それなら事前に話を聞いて、希望に合わない球団には、“どうか指名を遠慮してもらえないでしょうか”と伝えておくつもりだろう。将来はメジャー志望らしいから、その球団方針も清宮の球団選択に影響するのかもしれない。清宮側の意向を聞いた上でも日ハムのように何があっても行くという球団もあるだろうし、入団拒否の危険があるなら他の候補に方向転換を考える球団も出てくると思う」 片岡氏もスカウト時代、1992年のドラフトで、当時の野村克也監督に、星稜の松井秀喜に複数球団競合の可能性を説明すると、『即戦力の投手だ!』と、伊藤智仁を1位指名したことがあった。伊藤も3球団の競合となったが「清宮が今回、面談を口にしたことで1位指名球団が減る可能性は高いね」という。 面談イコール希望球団の絞り込み作業になることは間違いなさそうだ。 球団の育成ビジョンに共感できない場合は、ルール上何の拘束力もないが、礼を尽くして事前に指名回避をお願いすることもあるだろう。そうなれば、1位指名球団は減ると見られる。 清宮は、この日の会見で「簡単に口にはできない」としながらも、「青写真はある」と将来メジャーの夢を捨てていないことを明らかにした。そして、メジャー挑戦への条件として、日本のプロ野球で「本塁打王になること」とも言った。 各球団との事前面談では、当然、ポスティングによるメジャー移籍に関する球団の方針も確認され、清宮側の球団選定に大きく影響すると見られる。日ハムがメジャー志望だった大谷翔平を説得するために育成ビジョンをレジュメにまとめ、ポスティング移籍OKの条件をもつけたとされるが、将来のポスティング移籍を了承するかどうかもひとつのポイントになるのかもしれない。そうなると、これまで球団として、ポスティングを認めてこなかった巨人は不利だ。