【問う 時速194km交通死亡事故】大分地裁公判「加速する感覚にわくわくしていた」 被告人質問で猛スピードの動機明かす 直進走行「右折車来ないと思った」
■遺族「許す気持ちになれず」
「弟は家族にとって、いなくてはならない存在だった」。事故で弟を亡くした女性(58)=長崎県=は第5回公判で被害者参加制度を利用し、意見を述べた。 5歳年下の弟は大分市内の実家で、両親らと4人で暮らしていた。女性は「弟は40歳のとき、家族のために実家を建ててくれた。離れて暮らす私としては、高齢の両親の世話をお願いする存在だった」と語った。独身だったが、「親しい人がおり、亡くなった後、すごく泣いてくれた。弟には幸せな時間があった」。 女性は事故の数時間後、家族の電話で悲報を受けた。弟は事故の衝撃でシートベルトがちぎれ、車外に投げ出された。対面した遺体は「下半身が複雑骨折をし、火葬後は骨が粉々になっていた」と明かした。 被告の男から謝罪の手紙が届いているものの、「理解できない速度で命が奪われた。許す気持ちにはなれない」と語った。 <メモ> 事故は2021年2月9日午後11時過ぎ、大分市大在の県道(法定速度60キロ)で発生した。当時19歳だった被告の男は、乗用車を時速194キロで走らせ、交差点を右折してきた乗用車に激突。運転していた同市の男性会社員=当時(50)=を出血性ショックで死亡させた。