小林製薬「紅麹問題」原因物質特定で被害者の賠償問題は大きく前進も…今後の争点は「欠陥」が認められるか
過去には石鹸で類似の事例が
今回の健康被害と似たような事案で過去には、「茶のしずく石鹸」事件がある。同石鹼を使用した人が次々に小麦アレルギーを発症。2004年から2010年までの間、累計4650万個、467万人に販売され、被害者は2000人以上におよんだ事件は社会問題になった。 この事件では、いくつかの訴訟が提起されたが、被害者6人が原材料メーカーに約7600万円の損害賠償を求めた裁判では、控訴審でも一審を支持し、原材料の「欠陥」を認め、製造物責任法に基づき、全員に計130万円の支払いを命じている。 「今後、同社の対応として、株主に対する責任等も出てくるかもしれませんが、これだけ世間を騒がせた事件ですから、(小林製薬は)まずは被害者に対し、真摯に、誠実に向き合うことが求められると思います。そもそも初動が遅く被害が拡大したと思われる経緯もありますから、企業としての今後を考えても、被害者に対してどのようなスタンスをとっていくのかはポイントになってくるでしょう」(辻本弁護士) 世間を騒がせた事件の発覚から半年以上。いまだ明らかになっていない部分もあるが、包み隠さず情報を公開し、原因究明と再発防止に全力を尽くし、被害者に誠心誠意対応する。その先にしか、地に落ちた信頼回復の道はないだろう。
弁護士JP編集部