ノート1冊で残業は減らせる!9つの肩書を持つ石川和男さんに聞く「すぐやる仕事術」
就寝時間にフォーカスして早起きを習慣化
こうしたアドバイスをされると、「早起きがとても苦手で…」と答える人が多いかもしれませんね。ですが、これは発想の転換で克服できると、石川さんは言います。 早起きができないのは、起きる時間にフォーカスしているからです。たとえば、「6時に起きるぞ」と気合を入れてのぞんでも、前日の就寝が遅いとやはり失敗しやすいです。無理に起きても、寝不足だから体調が悪くてモチベーションも下がります。 だから、寝る時間にフォーカスするのです。自身の適正睡眠時間が7時間だとしたら、前の晩の11時に眠りにつけば、6時に起きられますよね。そこで「11時に寝るぞ」と、その時間の就寝を死守するかたちでスケジュールを組んでいきます。 たとえば、飲み会があっても2次会には行かない、入浴の時間帯は決めておく、深夜に見たいテレビ番組があるなら録画しておく、10時台にはスマホをオフにし、照明は暗くするなどです。 もう1つ効果的なのは、早起きしてがんばることで何が得られるかを想像することです。たとえば、税理士になって収入がアップするとか、ブラック企業から好条件の企業へ転職するといった努力の先にある夢がかなった状態ですね。具体的に想像することで、早寝早起きは自然とできるものです。
ノート1冊で残業は減らせる
最後は、多くのビジネスパーソンが抱える「残業がなかなか減らせない」という切実な課題です。 これについて石川さんは、次のようにアドバイスします。 残業を減らす以前の問題として、今日どれだけのタスクを抱えていて、何を今日中に処理すべきかが把握できてないパターンが少なくないようです。 みなさん、すべきタスクをなにかしらリスト化していると思います。でも、一部はスマホのメモ機能に書いてあったり、一部はパソコンに付箋で貼ったり、机の隅に来社する人の名刺を置いたり、財布の中のレシートに買い物の予定を書いてあったり、頭の中の記憶に頼ったりなど、参照すべきものが散乱していることが多いです。 それだと、終業間際に今日絶対にしておかなければならない仕事を発見してしまうなど、問題につながりやすいのです。 そこでおすすめしたいのが、B5サイズの罫線付きノートを1冊買って、両開きのページに今日すべきことを書き尽くしてしまうという方法。 一見簡単そうですが、いくつかコツがあると石川さんは話します。 まず、できるだけタスクを細分化することです。たとえば、経理担当で決算業務が目下の大きな仕事だとします。その場合、単に「決算関係の仕事」と書くのでは、効果はありません。逆に、「大変で難しいから後回しにしよう」という気持ちになりかねません。 そこで細分化します。「昨年の決算書をコピー」「現金をチェック」「預金をチェック」「受取手形をチェック」というかんじで、かなり細かくです。1つ1つは簡単なことなので、これだと、「大変で難しい」というイメージがまず消えます。さらに、「この業務は、手の空いている部下のAさんに任せられそう」「記帳は、銀行に行く予定のBさんについでにやってもらおう」といった判断がしやすくなります。 気の進まない仕事ほど細分化すると効果的です。自分は、事業年度終了報告書の作成は、苦手意識があります。そこで、手引きを1ページ読むだけ、といったレベルまで落とし込んでいるので、やっていける面があります。 あと、苦手なことでも着手すると心理学でいう作業興奮のおかげで逆にきりのいいところまで進めたくなるものです。筋トレで、「腕立て伏せをちょっとだけしよう」と言っても、結構な回数できてしまうのと同じ原理です。 もう1つのコツは、仕事だけではなく私生活のタスクも全部書いてしまうことです。帰宅前にスーパーでこれこれの食材を買う、コンビニで公共料金を支払うといったことまで、ひっくるめて書いてください。書くのが面倒だからと記憶に頼ってしまうと、仕事中に「帰る前にあれをするんだったな」とふと思い出して、集中の邪魔になりますし、そもそも忘れやすいのです。 もし、今日すべきタスクが完遂できなかったら、次の日にまた新たなページを開いて、そのタスクを再び書き込むだけです。シンプルですが、「ノート術によって人生が変わった」と言う人は結構いて、ぜひともおすすめしたいメソッドです。 石川和男 1968年北海道生まれ。埼玉県在住。都内の建設会社の総務経理担当役員、税理士、明治大学客員研究員、ビジネス書作家、セミナー講師など9つの肩書を持つ。 著書は約30冊、累計発行部数35万部を超える。近著は、『経理の一流、二流、三流』(明日香出版社)、『今すぐ伝えるコツ174』(ソシム)、『どんなことでも「すぐやる」技術』(Gakken)。
鈴木拓也