10月開始コロナワクチン定期接種 福島県内自己負担額に差 高齢者ら対象51市町村2500円以下
高齢者らを対象に10月に始まる新型コロナウイルスワクチンの定期接種で、福島県内59市町村の住民の自己負担額に差があることが市町村への取材で分かった。無料~3千円超と幅があり、86%に当たる51市町村が2500円以下に設定し、近隣の市町村と金額をそろえる傾向が見られた。秋から冬にかけて感染拡大が懸念されるとして県は市町村と連携し、早めの接種を呼びかける。 定期接種は65歳以上の高齢者と、心臓や腎臓、呼吸器に機能障害があるなど基礎疾患を持つ60~64歳が対象で、県内には約60万人いる。接種費用は医療機関によって異なり、任意の場合は1万5300円程度とされる。国が1回当たり8300円を各市町村を通して助成し、残りの7千円程度を市町村と対象者が負担する。各市町村が対象者数や財政状況を踏まえて住民の自己負担額を決めた。 市町村別の自己負担額は【表】の通り。2100円が30市町村(51%)と最多で、2千円が15市町村(25%)、千円が3町村(5%)だった。飯舘村は無料。4町村は3千円以上に設定した。東白川郡の4町村は国の助成分に町村負担の3500円を上乗せした1万1800円を超えた分とした。接種費用が1万5300円の場合、3500円が自己負担分となる。
多くの市町村は国の助成分を差し引いた7千円の約30%に当たる2千円台に設定した。高齢化率が60・8%で県内で最も高い金山町の担当者は「経済的負担を軽減し、希望する町民が打ちやすい環境を整えた」と説明した。 県によると、2千円台の自己負担額はインフルエンザワクチン定期接種費と同水準という。東北地方の県庁所在地の自己負担額を見ると、3千~4千円で、福島市の2100円は最も低い。 対象外の人が打つ場合は原則全額自己負担となる。喜多方市が妊婦を無料とするなど、北塩原村、金山町は独自支援を講じる予定。 コロナワクチン関連の研究に取り組んできた福島医大放射線健康管理学講座の坪倉正治主任教授は「自己負担額の地域差は県民の健康格差につながる恐れがあり、差は小さい方が望ましい。国が責任を持って対応すべき」と指摘。定期接種に向けて「一度も打っていない人や、前の接種から長期間が経過した人は接種を検討してほしい」としている。