静岡県内の不登校初めて1万人超す 小学校低学年の増加顕著 23年度公立小中学校
静岡県教委は31日、2023年度の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(文部科学省)の県内状況を発表した。公立小中学校の不登校の児童生徒数は1万1524人(前年度比22%増)で11年連続で過去最多を更新し、初めて1万人を超えた。小学生の増加が顕著で、低学年ほど増え幅が大きい。 小学校は4679人(同41%増)、中学校は6845人(同12%増)だった。学年別では中学2年が最も多く2473人。中学3年は7割近くが90日以上の欠席者だった。前学年時からの推移を見ると、小学2年は1年の時の3倍に、中学1年は小学6年の時の1・8倍になった。前年は未就学児だったためデータがない小学1年の不登校者数も例年を大幅に上回っていて、学校環境の変化に悩む「小1ギャップ」と「中1ギャップ」の実態が浮き彫りになった。 23年度の小学1年は年少の頃に新型コロナウイルス禍が始まり、小学校入学直後に5類移行を経験している。小学校低学年で不登校の傾向が強く表れたことについて義務教育課は「コミュニケーションが制限された影響が考えられる。幼小連携に努め、スタートカリキュラムの充実を図ることが重要」としている。高校は全日制が671人(同22%増)、定時制は540人で、前年よりも8%減少した。 いじめの認知件数は小学校1万9892件、中学校は5507件。高校は102件で前年度の2・5倍に、特別支援学校では243件(4・1倍)と急増した。校種別の解消率は60・4~85・6%。いじめ防止対策推進法に規定される「重大事態」は小中高、特支(国公、私立含む)の合計で29件。千人当たりの発生件数は0・08件で、全国値の0・1件を下回った。 発見のきっかけで最も多かったのは小学校が「アンケートなど学校の取り組み」、中学と高校が「本人の訴え」、特別支援学校は「学級担任が発見」だった。文部科学省はいじめの認知について積極的に取り組むよう学校現場に求めている。 ■常葉大教育学部の太田正義准教授「学校外の居場所 整備が必要」 増加は新型コロナ禍の影響だけでなく、さまざまな要因が想定される。授業で同級生と意見交換する機会が増え、学習や表現が苦手な子の居づらさにつながっている可能性や、教育現場が児童生徒の「体調不良」の訴えを病気ではなく不登校として扱うなど積極的な覚知に取り組むようになったこともある。 学校外の居場所は不足していて整備が必要だ。同時に学校側も「誰もが楽しい場所」として多様性を包摂する場であり続けるよう、変革が求められる。
静岡新聞社