名古屋繁華街で進む書店再編 ── 差別化で挑む新店も
全国的に書店の数や本の売り上げが減少しているなか、愛知県名古屋市の中心地である栄地区で近年、書店の出退店が激しく続いている。新たに出店する傾向として「大型化」や「差別化」が目立っているが、そんな栄地区にこの9月、カフェを併設し、コーヒーを片手に本を読める書店が登場。再編が進む名古屋書店業界にどのような影響をもたらすかが注目される。
店舗の大型化と差別化目立つ
「出版不況」の影響により、全国的に書店の減少が続いている。日本著者販促センターの調べによると、全国の書店はここ10年間で約4200店が閉店したという結果が出ている(2014年5月時点)。 いわゆる“街の本屋”が消えていくなかで、名古屋・栄地区は2000年以降、書店の出退店がめまぐるしい。主な書店を挙げれば「マナハウス(2000年~2007年)」や、「旭屋書店 名古屋ラシック店(2005年~2012年)」、「あおい書店 名古屋本店(2006年~2011年)」などがその一例だ。 最近では、インターネット上の書店や電子書籍が台頭しているなか、店舗型書店の傾向としては「大型化」と「差別化」が目立ってきている。栄地区でいえば、今年4月にオープンした「丸善 名古屋本店(売り場面積約1470坪、蔵書数約120万冊)」や「ジュンク堂書店 ロフト名古屋店(売り場面積約1200坪、蔵書数約80万冊)」がそれにあたる。 一方、名古屋発祥の書店で差別化に成功している好例といえば「ヴィレッジヴァンガード」が挙げられる。全国に400店舗近く構える中、栄地区では名古屋中央店と名古屋パルコ店の2店舗を展開。店舗ごとの客層に合わせて本や雑誌を揃えることで、売り上げと店舗数を伸ばし、2015年5月期の決算でも増収増益を記録しているという。 ほかにも差別化で個性を発揮している書店としては、国内外の現代美術に関する書籍を中心にそろえる「ナディッフ愛知」や、本だけでなく文房具や雑貨、ステーショナリーまで充実する「ザ リブレット」などがある。