【高校サッカー選手権】実践学園、駒澤大高に競り勝ち2年ぶりの決勝へ
第103回全国高校サッカー選手権東京予選2次予選Bブロック準決勝2試合が11月10日、味の素フィールド西が丘で行われた。 【フォトギャラリー】実践学園 vs 駒澤大学高等学校 10時キックオフの第1試合。東京T1リーグ同士のカードとなった実践学園と駒澤大学高等学校との対戦は後半29分、CKのチャンス。キッカーDF2 峰尾燎太(3年)からDF23美濃島想太(3年)が頭で押し込むと、これが決勝点となり実践学園が1‐0で競り勝ち、2年ぶりの決勝進出を決めた。 殊勲のDF23美濃島は「大一番で決められて泣きそうになるくらい、ホントに嬉しいです(笑)。高校に入ってあまり喜ぶことはなかったですが、新しい景色を見られました」と喜びを語った。 決勝点のシーンは前日の練習で入念に打ち合わせたもの。空中戦に強い選手に触らせないようにと細かい駆け引きを経た、微に入り細を穿つゴールとなった。 「どちらが勝ってもおかしくない試合でした」と実践学園の内田尊久監督。1‐0の渋いスコアだが中身はタフで激しいゲームとなった。 前半開始のホイッスルと当時に互いの陣内を行き来するオープンな展開に。スタンドの歓声にチアリーディング。吹奏楽が奏でる音楽に選手は気合いも動きも2倍、3倍増し。前線に向けロングボールが放たれると落下点では苛烈なボールの奪い合い。奪っては進み、奪われては戻るを繰り返した。この勢いは果たして80分間、持つのだろうかと心配をするほどだった。 一見、無茶な滑り出しだが、これは立ち上がりの失点を回避する実践学園の目論見。その後、徐々にペースを手繰り寄せるが、そう簡単ではなかった。 実践学園の生命線である上下両サイドを駒澤大高に抑えられ、サイド攻撃が滞った。この状況をMF18吉浦晴、FW19本間貴悠、MF20福田怜央の2年生トリオの攻撃陣が補完。中央、そしてサイドと徐々に機能し、駒澤大高を押し始める。 後半、実践学園の攻勢となったが、駒澤大高としてはあえてボールを持たせているのかと思うほどの落ち着きぶり。攻めに出る実践学園の裏を狙ったカウンターで一気に迫った。 試合の分かれ目となったのが0-0で迎えた後半12分。駒澤大高は、セットプレーのチャンスからFW11岸本空(3年)のゴールが決まったかに見えたが、ファールのためノーゴールとなった。内田監督は「あのジャッジがどう転んだのか、わからないところで勝負が分かれました。あのシーンが決まっていたら、もっと苦しい試合になっていました」と冷や汗ものだった。 これが実践学園イレブンに刺激になったのか、攻守で引き締まった。押し込んでも決められなかった得点が決まり、駒澤大高の回数は少ないものの鋭いカウンターにもそれ以上の泥臭さで対応した。さらに先制点から終了までの約10分間、落ち着いたゲームの締め方ができた。その実現、実行には揺るがない、裏打ちされた信念のようなものがあった。「試合前、言っているのはうちが良い時は絶対に守備が良い時」(内田監督)。「T1リーグで勝てない時期があるなか、選手ミ―ティングを重ねてきました。DF陣は絶対に身体を張ることは練習から徹底していました」(DF2峰尾)。 そして主将のDF10岸誉道(3年)。試合前、イレブンに伝えた言葉に強い覚悟がうかがえる。「この舞台に立ったことは、みんなの前で良いプレーをすることでも、いい会場で試合をすることでもない。とにかく目の前の試合に勝つ、細かい勝負で勝つことがなにより大事。その部分を徹底して、周りの歓声を消すくらい、全うしてほしい」。 集大成となるBブロック決勝戦は16日、駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場で堀越と対戦する。 (文・写真=佐藤亮太)