郊外私鉄沿線に大量の不動産を持つ「大地主」だが…「お金が不安で夜も眠れない」ワケ【元メガ・大手地銀の銀行員が助言】
年々高騰…不動産にかかる経費
不動産の維持においてかかる支出項目を図表1に列挙した。不動産固有の経費や、税金がある。 不動産賃貸業においては多くの経費がかかる。また、昨今のインフレにおいては不動産経費がより高額になってくる可能性もある。固定資産税や都市計画税の算定の基礎となる公示価格についても上昇傾向が続いており、今後増額していく可能性が高い。 また、個人で不動産を所有している場合は不動産所得に対して半分程度が税金となることもあり、税金の負担も重い。 建物を借入して新築する場合や購入する場合においてはほとんどのケースで借入を行うためローンの元金利息の返済があり、不動産収入に対して残るキャッシュフローが少ないケースはよくあることだ。 傍からみると、多くの不動産収入があるように見えて羨ましく思うことがあるが、蓋を開けてみれば諸々の支払いや取引先との関係維持で苦労することが多いように思われる。
不動産を売却して現金化することに…
北沢隆一は事前に手元資金を厚くしておくことに決めた。後継者には自分の相続発生時において納税資金の確保などで慌てて欲しくないと考えたためだ。まとまったお金を資金化できるものとしては北沢家には不動産しかない。 実は先週、自宅のポストに不動産会社のチラシが投函されており「高価買取」を謳うものであった。地元では聞いたことがない不動産業者ではあったが、納税資金の確保を検討していたタイミングでもあったため、連絡を取ることにした。 数日後に不動産業者の担当である小早川(仮名)がアポイントを取得のうえ訪ねてきた。会社では自社買取業務を中心に売買仲介業務も一部担っているという。売却を検討している不動産の情報をいくつか開示して打合せを行った。1時間程度打合せを行い、その後、小早川と一緒に売却を検討している物件を見て回った。 小早川曰く、買取可能な物件がいくつかありそうであるとのことであり、会社に戻って査定および社長の決裁を仰ぐため少し時間が欲しいとのことであった。自宅に戻り査定の依頼書にサインをしてその日は解散した。