共英製鋼、「エシカルスチール」ブランド化へ。電炉利用し医療廃棄物を安全処理
「エシカルスチール」をブランド化する―。共英製鋼はこのほど策定した2026年度までの中計で「ブランディングの強化」を取り組むべき課題の一つとした。エシカルスチールは同社が手掛ける医療廃棄物処理事業と鉄鋼事業を結び付けるもので、電炉による鋼材生産の工程において、注射針・注射筒・メス・検査機材など医療廃棄物が安全にリサイクルされたことを示す製品。医療廃棄物には感染リスクが伴うが、不法投棄の事例はいまもしばしば報道されている。環境リサイクルと鉄鋼事業。これを両立した同社のビジネスモデルをブランド化することで、企業価値向上につなげていく。 「エシカル」/=倫理的な エシカルとは「ethical」で、「倫理的な」という意味の形容詞。エシカル消費、エシカルファッション、エシカルフードなどの造語があり、環境への配慮を示すだけでなく、人権・労働環境など人間や社会に対しても倫理的であることを示す。 同社が医療廃棄物処理を始めたのは、1988年。エシカルスチールには「35年目の新製品」というコピーも付けた。医療廃棄物処理を手掛けるのは、同社主力電炉工場の山口事業所。医療廃棄物を電炉で無害化溶融しており、鉄スクラップだけでなく、医療廃棄物も安全に処理され、鉄筋など鋼材にリサイクルしている。 今中計では社会貢献事業に純利益の0・5%を支出するとしており、エシカルスチールの事業化もまずは公共施設などへの寄付から始めていく考え。エシカルスチールの正式発表・販売はまだだが、今後要件などを詰め、商品化を目指していく。