「ひとり老後」は不安で寂しい?誇りを持っていい生き方だと言える理由
人生100年時代、現役世代を駆け抜けた後はどのように過ごせばいいのでしょうか。精神科医の保坂隆先生いわく、人生後期は無理をせず「ほどほど」をキーワードに過ごすことが大切とのこと。『精神科医が教える 人生を楽しむ ほどほど老後術』より、日常生活を元気で楽しく暮らすための知識をご紹介します。 * * * * * * * ◆シニア世代の家族の現状 現在のシニア世代は、平均的に子どもは2人くらいでしょうか。その2人とも都会に出てしまい、親は地方で暮らしている。 やがて親の1人が旅立ち、1人が残されたとしても、親が都会に移るのは難しいし、子どもは生活上、都会を離れられず、簡単に親の住む地に帰ることはできない。 このようなモデルケースが多いのではないでしょうか。 つまり、男性も女性も、やがて「ひとり老後」になることを頭に入れておいたほうがいいということです。 といっても、不安がったり、寂しいと思うのは早計です。最近は、子が同居を申し出ても、「一人のほうが気ままだから」と親側が同居を拒むようで、むしろ積極的にひとり老後になるケースも少なくありません。
◆ひとり老後の清々しさ ひとり老後もふたり老後も、それぞれいいところ半分、ネガティブな面が半分ではないでしょうか。一人で生きるのも、清々しい選択といえるでしょう。 ひとり老後になった場合は、できるだけ楽しい点だけを見るようにすべきです。どんな暮らし方でも、誰にも文句は言われない。そうしたひとり暮らしを楽しむのです。 家族に囲まれる幸せや友だちがたくさんいる幸せを否定するわけではありませんが、一人でスッキリ生きているのなら、「寂しい人」とか「変わった人」ではありません。 もともと人間というのは一人で生きていく存在です。家族、友だち、仲間は、人生のそれぞれのシーンにおいて手助けしてくれたり支えになってくれたりしますが、最終的に物事を決断し生きていくのは、自分の力のほかにありません。 そう考えると、ひとり老後を恐れることもなければ、恥じたり、みじめに思う必要はまったくないのです。 孤高に生きるには、それなりの強さも求められます。もっと胸を張り、誇りを持っていい生き方だと思います。
保坂隆