ビール造りを体験 1年かけ原料栽培から仕込みまで 桜の花を香り付けに/兵庫・丹波篠山市
兵庫県丹波篠山市を拠点に活動しているサークル「草むらの學校」が16日から、一年かけてクラフトビール造りを楽しむプログラムをスタートする。昨年に続く第2弾で、市内で原料となるホップや麦の栽培・収穫を体験したり、ビールが出来上がる工程も楽しんだりする。今回は香り付けに桜を使い、自分たちで造る〝世界に一つだけの一杯〟を味わう。ビール好きにはたまらない貴重な機会、と昨年は全国各地から参加があった。関係者らは、「ビールは大人向けだけだが、自然の中での作業は子どもたちにも喜ばれている。いろんな人に参加してほしい」と呼びかけている。 16日午前10時から同サークルの拠点(同市遠方)で説明会を開催。スタッフが参加者にクラフトビールや年間スケジュールの説明を行うほか、早速、ほ場で麦の種まきを行う。 来年1月には山に入って間伐を体験。里山の課題を学びつつ、のこぎりを使って木を伐採する。3月に麦の追肥とフレーバーになる桜の花を収集し、4月にホップを植え付け、麦秋の5月に麦を収穫。7月にホップを収穫し、9月にビールを仕込む。 ビールの名前やラベルデザインを考え、1年後の11月にビールの完成お披露目会を開催。自分たちで生み出した一杯で乾杯する。 協力する「丹波路ブルワリーテラノ・サウス」(同市北)の井筒一摩さん(38)によると、桜の塩漬けを香り付けにすることで、桜もちのような味わいがあるビールになるという。 「森のある暮らし」を体験し、これからの衣・食・住を探求している同サークル。山や田畑、麦を育てる農家や醸造所など、市内にはビール造りに必要な自然と人の両方の資源がそろっていることに気づいた。また、古市地区で都市部の人らと共に日本酒造りに取り組んでいる「ミチノムコウプロジェクト」に感銘を受け、そのビール版を企画した。 昨年、丹波篠山と関わる「関係人口」を増やす取り組みに、と同プロジェクトからアドバイスを受け、香り付けにヒノキを使ったプログラムを開催したところ、遠くは広島や横浜などから訪れた関心のある人や親子連れ、友人同士などが作業を楽しみ、市内の飲食や観光も満喫した。 同サークルの代表〝校長〟を務める宮狭彩楓さん(22)は、「一年通しての活動。自分のためでもいいし、誰かへのプレゼントに造るのも良いかも」とほほ笑み、「前回はどんどん顔見知りになられて、皆さん、わきあいあいと楽しまれていた。人のつながりも生まれてくれたらうれしい」と話す。 井筒さんは、「麦の収穫や仕込みの見学など、個別の体験会はあるけれど、一から全てを体験するプログラムは全国でもほとんどないと思う。ビールマニアも普通の人もぜひ楽しんでほしい」と笑顔で話している。 参加費用は完成したビール(330ミリリットル×6本)や試飲ビール、イベントへの参加費などを含めて年間4万4000円。リピーターは4万円。1口で大人(20歳以上)2人まで参加できる。子どもは無料。今回から運営のサポート参加(1人年間1万5000円)を募るほか、完成したビールのみ(6本4800円)も販売する。 募集口数は50口で達し次第終了。プログラム途中での参加も受け付ける。問い合わせはメール(kusamura.gakko@gmail.com)。