キャシー中島さん【第1話】自分も相手も受け入れて…72歳のビッグマム「ハッピーの流儀」
更年期以降の手指の痛み…唯一忘れられる時間は
『Aloha nui loa キャシー中島・51年目のキルト作品集』(大和書房刊)より©斉藤亢 キルトとの出合いは、20歳のときでした。 仕事で行ったアメリカのサンタモニカで、偶然、キルトショップに飾られていた、きれいな色のパッチワークキルトを見たんです。まさに運命の出合い! すぐに作り方を教えてもらい、その日から夢中で縫い始めました。あれから51年。キルトは私の人生そのものです。 そのキルトを縫う指に異常が出たのは、45歳の頃でした。右手の指の第1関節が赤く腫れて、痛くて痛くて。キルト教室の生徒さんから、“ヘバーデン結節”だと教えてもらいました。 さらに65歳くらいになると、今度は右手の薬指の第2関節が腫れて痛くなったの。結婚指輪も入らなくなってね。キルト展のサイン会にいらしていたお客様が、「キャシーさん、それブシャール結節ですよ」って。えーっ、ヘバーデンだけでも大変なのに、ブシャールも!? 困ったなぁって思いました。 でもね、キルトを縫っているときは痛くないんです。雑巾を絞ったり、ペットボトルのフタを開けたりするのは痛くてできないのに、チクチク縫うのは大丈夫なの。不思議でしょ。たぶん縫っているときは、ただただ楽しいからなんでしょうね。 「キルトは根を詰めて縫うから大変でしょう」とよく言われるんですが、私ね、全然根を詰めてないんです。ものすごくがんばってるという意識もないんです。縫っているときは、ひと言で言うと「ハッピー!」。ストレスだって、縫っているうちに発散できちゃう気がします。 とはいえ、これからも指の痛みとはお付き合いしていかないとね。指を反らしたり、全部の指をじゃんけんのパーのように思いっきり広げたりする手の体操を毎朝続けています。あとサプリメントもね。そして、痛くてできないことは夫や周りの方の助けも借りるようにしています。
50代から自分を大切にする方法とは、
振り返ると「50代」は本当に区切りの時期ですね。閉経を迎えて女性として“お疲れさまでした”となり、子育ても終わって、これからは自分のために生きていこう、前に進もうって思える。 そういう時期こそ、自分の好きな世界に居場所をつくってほしい。私のキルト教室にもたくさんの生徒さんがいらっしゃいます。ここでは下の名前で呼ばれて、何気ない世間話をしながらチクチク手を動かす。 〇〇さんのママ、〇〇さんちの奥さん、そういった何か縛られた環境から一歩外に出て、ただの一人の女性として、いろんな世代の女性たちと気兼ねなく話せる場所。更年期の不調とか親の介護とか、仕事や夫の愚痴とか(笑)、何気なくおしゃべりして心が軽くなれる場所。 趣味や自分磨きの時間も大切だけど、女性には、自分を取り戻せる場所、サロンみたいな場所でリフレッシュすることも、必要なことなんじゃないかしら。 キャシーさん手作りのキルトクッション ”お疲れさま”の一方で、結構いろいろなことが起こるのも50代ですね。 私の場合は、最愛の娘を亡くすという大きな悲しみを経験しました。このことについては改めてお話ししますが、そんな悲しみを乗り越えられたのは、やはり夫や子どもたち、そして周りにいた方たちのおかげでした。 夫とは早いもので、2024年2月に結婚45周年を迎えました。ご存じの方もいると思いますが、俳優の勝野洋さんです。45年も一緒にいると、そりゃあ、いろいろあります。でもね、“夫のトリセツ”もちゃんとできているの。 次回は夫の操縦法(笑)、夫との付き合い方についてお話ししますね。 取材・文=佐田節子 写真=中西裕人 構成=長倉志乃(ハルメク365編集部)
ハルメク365編集部