柳田悠岐&ウォーカーの2発で巨人に快勝 それでもソフトバンク王会長が発した意外な言葉
◆オープン戦・ソフトバンク5―0巨人(14日、ペイペイドーム) 【コラム・好球筆打】 やっと出たとは思わないが、ようやく見ることができた。主砲柳田の一発だ。初回。いきなり無死一、二塁の好機で打席が巡ってくると、相手先発戸郷の143キロ直球を右翼席中段まで運び去った。推定飛距離125メートルの豪快弾に、打った本人も確かな感触があったのだろう。打球方向を見ながらバッターボックスから歩き出し、ゆっくりとダイヤモンドを1周した。 ■「泣ける」ウォーカーが古巣恩師とサムアップ2ショット【写真】 柳田にしてみれば今オープン戦出場8試合目、通算21打席目での一発と特別時間を要したわけではなかろうが、宮崎春季キャンプでの紅白戦や練習試合も含め、実戦はここまでノーアーチが続いていた。これらすべてを含めると今春34打席目での初本塁打ということだ。やっと見ることができたと思われるのも、長打力を武器とする強打者の宿命なのかもしれない。 6回には新外国人助っ人のウォーカーにも一発が飛び出した。オープン戦ではあるが、本拠地初本塁打でもある。12日の巨人戦(鹿児島)でも一発を放っており、昨季まで2年間在籍した古巣相手に元気過ぎる姿を見せることができ、本人も非常に満足げだった。 結局、チームはこの2本塁打で5点を奪い、巨人との3連戦に〝勝ち越し〟た。この勝ち方には、試合を見守った王球団会長もさぞかしお喜びだろうと球場から引き上げるところを待ったが、開口一番「きょうは大津がよかったね」と巨人打線を6回3安打無失点に抑えた2年目右腕の投球を絶賛したのは意外だった。 もちろん、誰がどう見ても最高の投球だった。8奪三振に無四球。得点圏に走者を進められたのは1死から連打を食らった6回の一度だけで、初回には1死一塁から仕掛けられた投前犠打を自らの好フィールディングで二塁封殺とするなど、目標とする開幕ローテ入りへこれ以上無いアピール投となったように思う。 それでも、何より本塁打に対する情熱が高い王会長が、その本塁打を差し置いてまで2年目右腕の熱投を褒めたたえようとは、ちょっと想定外だった。それだけ大津の投球が強く印象に残ったということだろう。王会長は大津の投球について、こうも語っていた。 「彼は力で押すタイプじゃないかわりに、コントロールがよかったよ。緩急も使ってね。チェンジアップがよかった。(小久保)監督は早くから彼(大津)を(先発ローテの構想に)入れていた。その監督の期待にこたえたね。前回があまりよくなかっただけにね」 現状、開幕ローテ入りは厳しい状況にあるかもしれないが、それでも王会長の前向きな言葉は大津にとってこれ以上ない支えとなることだろう。(石田泰隆)
西日本新聞社