夏休みの幕開けは新作6本がランクインの大激戦!『怪盗グルーのミニオン超変身』が『キングダム 大将軍の帰還』を猛追
7月19日から7月21日までの全国映画動員ランキングが発表。夏休みシーズンに突入する週末とあって、注目作が相次いで公開。トップテンに新作が6本もランクインするなど上位の顔ぶれが一変するなか、前週に実写日本映画歴代No. 1のスタートを飾った『キングダム 大将軍の帰還』(公開中)が2週連続で首位の座を守り抜いた。 【写真を見る】スピンオフ第3弾の製作も決定!最新作でミニオンたちはどんな活躍をみせるのか ■夏休み効果抜群!ミニオンの活躍を描く「怪盗グルー」最新作は2位発進 公開2週目を迎えた『キングダム 大将軍の帰還』の週末3日間の観客動員数は52万9000人、興行収入は8億1600万円。前週との対比では50%と大きく数字を落とす結果になったが、昨年の同時期に公開された前作『キングダム 運命の炎』(23)の2週目末の成績との対比では133%。累計成績ではすでに動員241万人、興収36億円を突破しており、これは前作の3週目末時点での成績を上回るもの。まだまだ夏休みの主役としての貫禄は十分だ。 そんななか、初日から3日間で動員51万人、興収6億8100万円と『キングダム 大将軍の帰還』と大接戦を演じるすばらしい成績で2位に初登場を果たしたのは、イルミネーションの看板である「怪盗グルー」シリーズの最新作『怪盗グルーのミニオン超変身』(公開中)。今週はこちらにフォーカスを当てていきたい。 『怪盗グルーの月泥棒 3D』(10)から始まった「怪盗グルー」シリーズは、スピンオフも含めれば今回で7作目。その第1作は初週末3位スタートで最終興収12億円と、まずまずのヒットにとどまる程度の作品だったが、劇中に登場する“ミニオン”が若者を中心に爆発的な人気を集めたことで、たちまち人気シリーズへとのぼり詰めていった。 続く『怪盗グルーのミニオン危機一発』(13)で動員ランキング初登場1位&興収25億円を記録すると、スピンオフ『ミニオンズ』(15)は同年に公開された海外アニメNo. 1の最終興収52億円を記録。そして『怪盗グルーのミニオン大脱走』(17)は4週連続No. 1でその年の夏休みを席巻し、最終興収は当時海外アニメ作品歴代8位(現在では11位)の73億円と大ヒット。前作『ミニオンズ フィーバー』(22)は5年のスパンが開いたことも影響してか少々興収を落としたものの、それでも興収44億円を突破する堂々たる成績を収めた。 このように一歩ずつ順調に成長していくシリーズというのは決して多いものではない。その成長ぶりを示すもののひとつが、北米と日本の公開時期の差。「怪盗グルー」シリーズは北米ではすべて7月に公開されているが、第1作の日本公開は10月末。それが第2作で9月の連休タイミングに早まり、『ミニオンズ』で3週遅れ、前作からは2週遅れとちょっとずつ縮まってきている。作品の認知度を高めるための宣伝活動に時間がかかるというのはよく知られているが、おもにミニオンの人気高騰の効果もあり「怪盗グルー」の認知度も期待度も高まり、じっくりと間隔をあけずとも成功できるコンテンツになった証明されたということであろう。 しかも『~ミニオン大脱走』以降、ミニオン人気を牽引する学生世代に届きやすい夏休みスタートのタイミングに公開されていることも、非常に効果的なようだ。先日、次なる作品として「ミニオンズ」の第3作が2027年夏の公開に向けて製作されることが正式決定。日本の国民的アニメの劇場版が毎年公開されているように、コンスタントに新作が出てくることも、このタイプの作品には必要不可欠。「怪盗グルー」の、もとい“ミニオン”のムーブメントはまだまだ続いていくはずだ。 ■『劇場版すとぷり』『あのコはだぁれ?』など、新作タイトルが続々初登場 さてここからは、ほかの初登場作品を順にチェックしていこう。まず3位にランクインしたのは、2016年に結成され動画配信サイトを中心にした活動で人気を集めてきたエンタメアイドルユニット「すとぷり」初のアニメ映画『劇場版すとぷり はじまりの物語~Strawberry School Festival!!!~』(公開中)。 紅白歌合戦にも出場するなど飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍するすとぷりの“はじまり”が描かれる本作は、全国300館以上で生中継された公開記念舞台挨拶も大盛況。既存のファン層に支えられるタイプの作品ということもあり、7月26日(金)と8月2日(金)からはそれぞれ入場者プレゼントの第2弾・第3弾の配布も決定するなどリピーター戦略も万全。しばらくは動員ランキングで存在感を示すことになるだろう。 続く4位に初登場を果たしたのは、「呪怨」シリーズの清水崇監督がNMB48の元メンバーである渋谷凪咲を主演に迎えた新作ホラー『あのコはだぁれ?』(公開中)。昨年公開された『ミンナのウタ』(23)のDNAを継いだ本作は、夏休みの学校を舞台に、補習授業の教室で5人の生徒と1人の教師が“いないはず”の生徒をめぐる恐怖に襲われる様を描く学園ホラー。 今年の春休みに異色ホラー映画『変な家』(24)が予想外の大ヒットを記録したように、長期休暇のシーズンには学生たちに刺さるタイプの作品が健闘する傾向がある。特に“夏休み”と“ホラー映画”の組み合わせは、「学校の怪談」シリーズから近年の『事故物件 恐い間取り』(20)まで、とにかく相性抜群。そういった意味で『あのコはだぁれ?』も、夏休みのスタートにあわせて公開されたことが好スタートに大きく貢献したと考えることができよう。 フジテレビ系列で20年にわたって不定期で放送されてきた人気バラエティ番組を、JO1とFANTASTICSのメンバーを迎えて映画化した『逃走中 THE MOVIE』(公開中)は5位に初登場。スカーレット・ヨハンソンとチャニング・テイタムが共演した『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』(公開中)は7位に、1980年にヒットした「宇宙戦艦ヤマト」の劇場版アニメに新解釈を加えて再構築した全7章の第1作『ヤマトよ永遠に REBEL3199 第一章 黒の侵略』(公開中)は8位に初登場を果たした。 以下は、1~10位までのランキング(7月19日~7月21日) 1位『キングダム 大将軍の帰還』 2位『怪盗グルーのミニオン超変身』 3位『劇場版すとぷり はじまりの物語~Strawberry School Festival!!!~』 4位『あのコはだぁれ?』 5位『逃走中 THE MOVIE』 6位『ルックバック』 7位『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』 8位『ヤマトよ永遠に REBEL3199 第一章 黒の侵略』 9位『映画 それいけ!アンパンマン ばいきんまんとえほんのルルン』 10位『ディア・ファミリー』 今週末は、マーベル・コミックの2大ヒーローが共演を果たす『デッドプール&ウルヴァリン』(7月24日公開)、浜辺美波が主演を務め「翔んで埼玉」の監督&脚本家が再タッグを組んだ『もしも徳川家康が総理大臣になったら』(7月26日公開)、2007年に放送されたテレビアニメの劇場版『劇場版モノノ怪 唐傘』(7月26日公開)などが控えている。 文/久保田 和馬