「セキュリティーの土壌に種をまく」 セキュリティー企業に投資 国内初のファンド設立 総合商社など16社参画
サイバーセキュリティー企業がタッグを組み、セキュリティー企業に投資する国内初の「日本サイバーセキュリティファンド」が立ち上がった。出資企業として総合商社の兼松など16社が参画。業界が一丸となって日本全国の企業にセキュリティーサービスを届け、サイバー攻撃からの自衛力向上につなげるのが狙いだ。 【関連写真】「日本企業をサイバー攻撃から守る」ことを掲げる「日本サイバーセキュリティファンド」 東京都内で29日、設立会見を開いた。同ファンドによると、日本国内ではセキュリティー専業企業は数十社に限られ、セキュリティー人材が圧倒的に不足している。多発するサイバー攻撃から企業を守るためにも喫緊の課題となっているが、こうした社会課題に1社で挑むのは困難なため、業界横断で手を組むことになった。 セキュリティー専業企業で構成するリミテッドパートナー(LP、出資企業)の出資で「日本サイバーセキュリティファンド1号投資事業有限責任組合」を設立し、セキュリティー企業に限定して投資を行う。早稲田大学発のベンチャーキャピタル「ウエルインベストメント」を無限責任組合員として、兼松と兼松エレクトロニクス、グローバルセキュリティエキスパートの4社が発起企業となり4月に創設した。 2017年から米シリコンバレーでサイバーセキュリティーを手がける兼松の宮部佳也社長は「世界に羽ばたくスタートアップが日本から生まれるよう、セキュリティーの土壌にも種をまき、成長の芽をはぐくんでいきたい」と意気込む。 29日の設立会見には、新たに参画を表明したセキュリティー企業13社も出席。今後、LPの経営トップを招集して業界トレンドなど定期的な情報交換を行うほか、アドバイザリーボードと呼ばれる会議体を設置して投資先企業の選定などに取り組む。今秋には金融機関や機関投資家にも参画を呼び掛ける予定だ。
電波新聞社 報道本部