ダリオ氏、米利下げ幅はゲームチェンジャーでない-中国に懸念
(ブルームバーグ): 米国の利下げ幅は世界の投資家にとってゲームチェンジャーにはならないが、中国の景気減速によるリスクは引き続き懸念材料だとの声が、シンガポールで行われた金融関連会議の参加者から聞かれた。
シンガポールで開かれたミルケン研究所アジア・サミット2024に出席したブリッジウォーター・アソシエーツの創業者レイ・ダリオ氏は18日、会場でブルームバーグテレビジョンとのインタビューに応じ、米金融当局による今週の行動は長期的には「違いを生み出さない」と指摘。山積する債務の返済を可能にするため政策当局は最終的には実質金利を低く抑える必要があると述べた。
レイ・ダリオ氏、25bpの米利下げは「正しい行動」-債権者には
中国経済の減速には、投資家はこれまでにも懸念を表明。5%前後の成長目標達成に向け財政・金融政策で刺激策を講じるよう中国当局に圧力をかけている。
厚朴投資の方風雷董事長(会長)は、株価下落や対中直接投資の減少を挙げ、中国は新型コロナウイルス禍による「予想以上の傷跡」に苦しんでいると指摘。
その上で、投資家は成長促進を図る強力な刺激策を期待しているが、中国指導部は任期が長く、「市民第一」の方針を掲げていること、中国式の政治経済学などによって「短期的な利益にはあまり注意を払わない」と方氏は論じた。
プルデンシャルの郭忠勇最高投資責任者は投資キャリア全体を通じて中国に対して「これほどの悲観は見たことがない」と発言。中国は依然として「世界最大の成長エンジンだ」と擁護した。
ダリオ氏は同氏のファミリーオフィスの資産ポートフォリオのごく一部を引き続き中国への投資に充てているが、中国には「深刻な問題」があるとの見方を示した。
キャピタル・グループ・カンパニーズのジョディ・ジョンソン副会長はダリオ氏とは別のインタビューで、中国経済の問題は同国および欧米の企業にとって「大きな懸念」であり、「政府の対応ですぐに解決できるものではなく、克服にははるかに長い時間を要するだろう」と述べた。