9か月ぶりに再開した輪島の漆芸研修所 地元・岩手で技術を磨き再開を待ち続けた研修生の思い
テレビ金沢NEWS
7日、9か月ぶりに再開した石川県輪島市の「県立輪島漆芸技術研修所」。そこで技術を学ぶ岩手出身の女性が東日本大震災で被災した文化財の復旧に取り組みました。輪島へ戻った彼女が得たものとは。 岩手県・大船渡市出身の今野風花さん。漆を使った芸術品を制作する『漆芸家』を目指し、岩手県花巻市内の作業場で修行に励んでいました。 今野風花さん 「本当に研修所の中にいたらできないようなことばかりやらせていただいたので、すごくいい経験になったなと」
今野さんは、仙台市の大学で漆芸を学んだあと、さらに技術を高めたいと去年4月、輪島市の『輪島漆芸技術研修所』に入学しました。 元日に発生した能登半島地震。実家に帰省していたため被災は免れましたが、研修所は断水の影響などで休講を余儀なくされました。
地震の発生から3か月。漆製品の製作・販売を手がける岩手県盛岡市の工房などの支援を受け、花巻市内の県営住宅に作業場を設け技術を磨いてきました。
今野さん 「研修所とはまた違う仕事をすることになっていくと思うんですけど、これからの作品制作にプラスに生かせるようにしていけたら」 そんな中、研修所からうれしい知らせが届きました。10月からの授業再開です。 今野さん 「今年いっぱいはちょっと動けないかなとは感じてたんですけど、今年中に石川に戻れることになってうれしく思ってます」
再開を前に、今野さんが取り組んだものがあります。陸前高田市にある県指定の有形文化財「旧吉田家住宅主屋」の復旧作業です。かつての「吉田家住宅」は仙台藩の所領である気仙郡を治めていた吉田家が1802年に建設。2006年に土蔵など4棟が文化財に指定されました。 しかし、東日本大震災の津波で全壊し今は4棟のうち、『主屋』1棟の復旧が進められてます。
今野さんが担当したのは、集会所にあたる『大所』の引き戸、10枚の漆塗りです。新聞で今野さんを知った市の教育委員会が依頼しました。 今野さん 「緊張感ありますね。運ぶのにもすごい気を遣いますし…」 ムラが出ないように素早く丁寧に。室温や湿度にも気を配ります。東日本大震災の時は小学5年生。高校を卒業してからは岩手を離れていた今野さん。それだけに、この作業には思い入れがありました。