100円の缶ジュースが20年で130円に…ネット上で“便乗値上げ”の声も
“便乗値上げ”消費者庁の回答は?
ちなみに今春の缶飲料の値上げに関し、飲料各社は原材料費の高騰という理由を持ち出していません。例えば日本コカ・コーラグループは、「一部の商品を値上げし、その他の商品の価格を据え置きにすることで、増税分が売り上げ全体に上乗せされるようバランスを取っている」としています。これは飲料各社も同様の見解を示しており、今回の一連の値上げは純粋な増税分の価格転嫁と捉えて問題ないようです。 ただ消費者感情としては、過去の一見“グレー”な値上げがあるだけに、「“また”便乗値上げ? 」と感じてしまうのかもしれません。そこで、今回の件について消費者庁の見解を確認しようとしたところ、「現状、各メーカーの状況を適切に判断できる状態になく、コメントできない」との回答でした。 どうして適切に判断するのが難しいのか。それは内閣府の資料「消費税の円滑かつ適正な転嫁のために」に、おおよそ次のように記されています。 「商品価格は自由競争のもとで市場条件を反映して決定される。したがって、便乗値上げの判断は、税負担の変化による上昇幅の範囲を超えているかどうか、という点のほか、商品の特性、需給の動向やコストの変動など、種々の要因を総合的に勘案する必要がある」 つまり、合理的な理由がない値上げは問題視するが、何をもって合理的とするかは判断が非常に難しい、というわけです。 当然、不当な値上げに関しては政府が厳しく目を光らせているので、消費者が慎重な判断を抜きにして、缶飲料の値上げを“便乗値上げ”と決めつけるのは適切とは言えません。ただ消費者感情として、少し釈然としない部分があるのも事実。メーカーはそれを真摯に受け止め、値上げに際しては、今まで以上に消費者に対して明瞭な説明に務めることが重要なのかもしれません。 (下元 陽/BLOCKBUSTER)