【リセットコリア】崩れた韓国の大統領制…内閣制が答えだ
12・3非常戒厳事態が収拾局面に入った。大統領は国会で弾劾訴追され、戒厳に積極的に参加した軍・警察の幹部も次々と拘束された。戒厳の違憲性と違法性については法曹界の意見がほぼ一致する。しかし依然として解決の糸口も見いだせない問題がある。それは政治改革問題だ。司法処理が結果に対する懲らしめなら、政治改革は事態の再発防止のための処方だ。 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が現実とかけ離れた考えをし、さらに行動に結びつけた理由は、政治制度の欠陥と無関係でない。与党の役割を見てもそうだ。国民の力は戒厳宣言に関して大統領に完全にスルーされた。それでも大半の議員が弾劾訴追案投票で「大統領に対する義理」を前に出して反対票を投じた。政党とは何か。「ビジョン」と「規律」を備えて国を統治する集団的な力を形成する組織だ。現代政治は政党として組織された集団知性を通じて、指導者個人の気質的特性や逸脱を最小化する。しかし今回の戒厳事態で与党は政党本然の役割を全く果たせなかった。 野党はどうか。振り返ってみると憲法の安定性を先に揺さぶったのは共に民主党だった。民主党は過去2年半の間に18人の公職者を相手に弾劾訴追を乱発した。さらに党代表の腐敗捜査を妨害しようという意図で弾劾訴追を推進した。しかし弾劾は「刑事裁判的な処分が難しい条件で憲法侵害から憲法を保護する手段」だ。民主党は憲法が前提とするこうした暗黙的規則を無視した。 両政党の状態がこのようだ。不幸にも与野党の位置を入れ替えても状況は変わらない。「一極体制」という評価を受ける民主党が与党になれば、大統領とどんな関係を結ぶかは見なくても明らかだ。明白な憲政破壊にもかかわらず「義理」を前に出す国民の力が憲法に忠実な野党になるはずもない。 1987年の民主化以降の状況を見ると、少数与党の期間が多数与党よりも長かった。大統領と野党が対立したが、それでも憲法的権限を極端な方法で使ってはいない。だからこそ政府が持続できた。しかしこれからは違う。行政府と立法府の相互尊重という大統領制の規範が消えた。弾劾は日常的になるはずで、非常戒厳までではないとしても憲法の境界を行き来する危険な権限行使も乱舞するだろう。大統領制はうまく作動するどころか、維持することも不可能になった。過度な予測という人もいるかもしれない。しかし20年前まで弾劾は辞書でのみ目にするような言葉であり、戒厳宣言は10日ほど前まで妄想の領域にあったという点を考えてみる必要がある。 なら、少数与党状況で内戦を防止する方法はないのだろうか。2つある。1つ目は、政党革新だ。両政党が合理的な野党に、責任を果たす与党に生まれ変わることだ。しかしこの代案は現実性が非常に低い。政治が決闘になってしまったが、決闘では正しい言葉でなく装填した銃を先に出してこそ生き残る。 2つ目、少数与党の状況を基本的に封鎖する方法だ。国会の多数党が行政府の首班の責任を負う議院内閣制に政府体制を変えることだ。内閣制は政党政府を志向し、行政首班の交代も柔軟だ。もちろん首相が繰り返し交代する場合、政府の政策の不安定性が高まるという弱点はある。しかしこれは現在のような大統領制でも同じだ。韓国政治の最優先課題は少数与党状況の極端な不安定を解決することだ。 一部では大統領4年重任制を主張する。ところが韓国の大統領制の問題点は任期や再選でない。先に見たように少数与党を持ちこたえられない欠陥だ。さらに長い任期の大統領を作って解決することではない。大統領をそのまま置いて首相を国会で選ぶ二元執政制度も違う。与野党の極端な葛藤が深まった状態で与党大統領と野党首相の協力を期待することはできない。 昨今の状況で政治改革は二重政府または少数与党の状況を源泉封鎖することに集中しなければいけない。良い政府を作る高次元的改革が必要なのではない。政府と無政府の間で最悪を防ぐ改革が至急だ。 ハン・ジウォン/作家/元新しい選択政策委議長