年を重ね、人相も変わる道長は現代人の写し鏡。崩れゆく平安の世のバランス|NHK大河ドラマ「光る君へ」第40・41回
賢子に訪れた出会い
さて、まひろの周りでも変化が訪れていた。娘・賢子(南沙良)に出会いがあったのだ。盗人の一味から助けてくれた双寿丸(伊藤健太郎)。ハツラツとしていて、盗人から助けてくれるシーンなんてまさにヒーローの登場シーンそのもの! 後ろから光が差す演出もイイ。カッコよさが増す。 賢子は助けてくれた双寿丸にお礼として食事をごちそうする。いとはいい顔をしないが、賢子は楽しそうだ。双寿丸に「姫様って面でもないよな」と言われてもケラケラと笑っている。 まひろはそんな賢子に、あのようなことを言われても怒らないのかと問いかけると「私は怒ることが嫌いなの」と答える。それは道長が子どものころに言った言葉だった。一緒に暮らしているわけでもないのに、親子って恐ろしい。 それにしても、いまのまひろとしては道長にどういう思いを抱いているのだろう。相変わらず、道長はまひろへの想いがより強いようだけれど……。
バランスが崩れ始める
一条天皇が去ったことによって、世代が変わり、にわかに道長の周りのパワーバランスが崩れ始めたように見える。 彰子は弟たちを呼び、共に力を合わせよう、と手を取り合う。 道長を慕い、どんなときも変わらずら力になっていた行成も反発の姿勢を見せる。 しかし、これは道長の変化のせいでもあるだろう。緩やかに変わっていく思想。権力に対する考え方。偉くなどなりたくない、と言っていた道長だったが、偉くならなければできないこともある。それは民のために、まひろのために、のはずだった。その目的はいつすり替わっていたのだろうか。そもそも、道長自身が変わってしまったことに気がついていないのではないか。 大河ドラマを観ていると、年齢を重ねていく中で変化していく人柄、というのをよく目にする。なんだかそれは今の自分にも警告されているような……そんな気が、しないでもない。 <文/ふくだりょうこ> 【ふくだりょうこ】 大阪府出身。大学卒業後、ゲームシナリオの執筆を中心にフリーのライターとして活動。たれ耳のうさぎと暮らしている。好きなものはお酒と読書とライブ
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